韓国政界に激震が走っています。12月14日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する2回目の弾劾訴追案が国会で可決されました。戒厳令宣布を契機とした今回の弾劾劇は、韓国の政治、そして日韓関係にどのような影響を与えるのでしょうか。
戒厳令宣布から弾劾訴追へ:混迷深まる韓国政局
12月3日夜、政権運営の行き詰まりから戒厳令を宣布した尹大統領。この決断に対し、野党6党は即座に反発、2回目の弾劾訴追案を提出しました。そして14日、国会本会議にてこの訴追案が可決。保守系与党「国民の力」からも造反者が出たとみられ、波乱の展開となっています。
韓国国会の様子
今回の弾劾訴追は、2004年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領、2016年の朴槿恵(パク・クネ)大統領に続き、3例目となります。 注目すべきは、保守系大統領が2人続けて弾劾訴追されたという点です。 韓国政治アナリストのキム・ヨンチョル氏は、「この事実は保守陣営の求心力低下を如実に示しており、今後の勢力図に大きな影響を与えるだろう」と指摘しています。
180日以内に憲法裁判所による審判:今後の展開を読み解く
今後、180日以内に憲法裁判所による弾劾審判が行われます。 尹大統領が罷免された場合、60日以内に大統領選挙が実施されることになります。 職務停止中の大統領の職務は、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が代行します。
弾劾訴追可決のニュース
過去の弾劾訴追では、盧大統領は職務に復帰、朴大統領は罷免と、異なる結果となっています。 今回の尹大統領は、戒厳令宣布は大統領権限に基づく統治行為であったと主張し、争う姿勢を見せています。14日の国民向け談話では、「決して諦めない。最後まで国家のために最善を尽くす」と力強く語りました。
日韓関係への影響:国交正常化60周年を前に
日韓関係改善を推進してきた尹大統領の職務停止は、来年に国交正常化60周年を迎える日韓関係にも影を落とす可能性があります。今後の政局の行方次第では、両国関係の進展に遅れが生じることも懸念されます。 国際関係学教授のパク・ミン氏は、「日韓関係の未来は、今後の韓国政局の安定にかかっていると言えるだろう」と述べています。
今後の流れ
与党内からも造反者:弾劾訴追案可決の背景
7日にも弾劾訴追案の採決が行われましたが、「国民の力」議員の多くが退席したため不成立となりました。 しかし、今回は6時間に及ぶ議員総会で反対方針を決定したにも関わらず、採決には参加。無記名投票の結果、賛成204票、反対85票、無効8票、棄権3票で可決されました。可決に必要な200票を上回る結果となり、与党内からも造反者が出たことが明らかになりました。 世論の強い批判に押された結果だと考えられています。
今回の弾劾訴追劇は、韓国政局の不安定さを改めて浮き彫りにしました。今後の展開、そして日韓関係への影響に注目が集まります。