MAGA支持層は本当に孤立主義者なのか?トランプ外交政策への支持を深掘り

米国の政治において、ドナルド・トランプ前大統領の強力な支持基盤である「MAGA(Make America Great Again)派」は、しばしば孤立主義的な外交政策を志向していると見なされがちです。しかし、米国の著名なシンクタンク、アトランティック・カウンシルのカラトニッキー上級研究員が「Foreign Policy」誌の電子版に寄稿した論説「No, MAGA Is Not Isolationist」(7月21日付)は、この通説に異を唱えています。カラトニッキー氏は、MAGA派が実際にはトランプ氏による国際紛争への積極的な関与、例えばイランの核施設への攻撃といった行動を支持していると分析し、その要旨を提示しています。

トランプ大統領の外交政策の転換と積極的介入

トランプ大統領(当時)の外交・安全保障政策に見られた近年の変化は、米国が軍事力を積極的に行使し、世界の舞台により深く関与していく姿勢を明確に示唆しています。具体的には、イエメンのフーシ派武装勢力やイランの核施設への限定的な攻撃、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対しロシアの脅威への備えを促し成功を収めた圧力、さらにはウクライナへの追加兵器提供の決定などが挙げられます。これらの行動は、トランプ氏が国際秩序の形成において、その意思と力をさらに強く発揮しようとしている表れと捉えられています。

トランプ元大統領の選挙集会でMAGA帽を着用し、熱心に演説を聞く支持者たち。彼らの外交政策に対する見解が孤立主義的ではないことを示唆する調査結果が注目されている。トランプ元大統領の選挙集会でMAGA帽を着用し、熱心に演説を聞く支持者たち。彼らの外交政策に対する見解が孤立主義的ではないことを示唆する調査結果が注目されている。

MAGA派の「非孤立主義」を示す世論調査結果

MAGA派は本当に孤立主義者なのでしょうか?近年の世論調査は、この問いに対して意外なほど明確に「ノー」と答えています。例えば、レーガン研究所が今年6月に実施した世論調査では、米国人の83%が「米国は可能な限り人権と民主主義のために立ち上がるべきだ」と考えており、共和党支持者に限っても81%がこの見解を支持しました。

さらに興味深いのは、他の共和党支持者と比較して、MAGA支持者の方が道徳的な外交政策を強く支持している点です。また、MAGA支持者の73%が「米国は国際舞台で主導権を握るべきだ」という見解を支持しているのに対し、民主党支持者ではこの割合が65%にとどまっていました。同研究所の過去6年間の調査と比較しても、対外関与への支持はこれまでで最も高く、「関与を減らすべきだ」と回答した人はわずか23%に過ぎませんでした。別の機関の世論調査では、イラン攻撃に対する共和党員の支持率が82%に達するなど、自国を直接脅かさない紛争への軍事介入に対する高い支持が示されており、これは一般的な予想とは異なる結果と言えるでしょう。

中東政策と福音派からの強い支持

世論調査の結果が示唆するように、米国が直面する数多くの国際的な課題に対し、共和党の有権者やMAGA派が孤立主義的な感情を抱いている証拠はほとんど見当たりません。特に中東に関するトランプ氏の近年の行動は、彼の支持層から非常に強く支持されています。その背景には、福音派がイスラエルを強力に支持していることがあり、この層からの支持は民主党や無党派層と比較してもイスラエル支持率を大幅に押し上げています。これは、MAGA派が単なる孤立主義ではなく、特定の信念や価値観に基づいた能動的な外交政策を支持していることを示唆しています。

これらの分析は、MAGA支持層の外交政策に対する見方が、従来のステレオタイプとは異なる実態を持っていることを浮き彫りにしています。彼らは、米国が世界の舞台で積極的な役割を果たすことを望んでおり、トランプ氏の国際的な関与強化の姿勢を強く支持しているのです。

参考資料

  • Atlantic Council: “No, MAGA Is Not Isolationist” by Jonathan Katz (Published on Foreign Policy, July 21)
  • Reagan Institute: Annual Reagan National Defense Survey (June survey data)
  • Various public opinion polls referenced in the original analysis