韓国与党「国民の力」、尹大統領弾劾可決で執行部総辞職 党内対立激化、今後の行方は?

韓国政界に激震が走っています。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾訴追案可決を受け、与党「国民の力」の最高委員5人全員が14日、辞意を表明しました。これにより韓東勲(ハン・ドンフン)代表体制は崩壊し、党は臨時執行部の非常対策委員会体制に移行する見込みです。しかし、弾劾案への対応をめぐり党内対立が激化しており、今後の党運営の先行きは不透明な状況となっています。

弾劾可決の責任、最高委員全員が辞意表明

尹大統領の弾劾訴追案可決は、国民の力党内に大きな亀裂を生じさせました。党則では、最高委員4人以上が辞意を表明した場合、最高委員会議は解散となり、非常対策委員会体制に移行すると規定されています。今回の事態はまさにこの規定に該当し、党の執行部は事実上崩壊しました。

韓国与党「国民の力」の韓東勲代表韓国与党「国民の力」の韓東勲代表

党内対立の深刻化、韓代表の続投表明で混乱

国民の力は弾劾案の採決にあたり、否決を党の方針として決定していました。しかし、14日の採決では少なくとも12人の党所属議員が賛成票を投じたことが明らかになり、執行部の責任論が浮上。採決前に開かれた議員総会では、挙手で執行部の総辞職が決定されました。

党内では、次期執行部の体制について16日に議論することで一致しています。しかし、韓代表は「職務を遂行する」と述べ、代表職に留まる意向を示しているため、今後の党運営は混迷を極める可能性が高まっています。

韓代表の対応に批判噴出、親尹派との対立激化

韓代表は弾劾案の採決をめぐる対応で立場を二転三転させ、最終的には尹大統領への賛成を党所属議員に呼びかけました。この行動に対し、尹大統領に近い「親尹派」などから激しい批判が噴出。党内対立はさらに深刻化しています。

親尹派は党ナンバー2の権性東(クォン・ソンドン)院内代表を代表代行とする体制を望んでいますが、韓代表が続投の意向を示していることから、党内の衝突は避けられない状況となっています。今後の国民の力の動向は、韓国政界全体に大きな影響を与える可能性があり、予断を許しません。

今後の韓国政界、国民の力の行方に注目

国民の力の分裂は、今後の国政運営にも大きな影を落とす可能性があります。弾劾案をめぐる混乱は、党内だけでなく、国民の政治不信を招く恐れもあるでしょう。政治アナリストの金氏は「国民の力の分裂は、韓国政治の不安定化につながる可能性がある。今後の党の動向を注視していく必要がある」と指摘しています。国民の力がどのようにこの危機を乗り越え、安定した国政運営に貢献できるのか、今後の動向に注目が集まります。