2026年度予算案、過去最大を閣議決定:高市首相の「責任ある積極財政」と政権内の動向

2026年度の当初予算案が12月26日に閣議決定され、一般会計の歳出額は122兆3092億円と過去最大の規模を記録しました。前年度の本予算から7兆円以上の大幅な増加となり、主に社会保障関係費の過去最大化と物価高対策がその要因となっています。新規国債発行額も29兆5840億円と5年ぶりに増加しましたが、片山さつき財務相は閣議後の会見で、「経済規模にふさわしくない過大な数字ではない」と述べ、公債依存度が1998年以来の低水準である24.2%に改善したことを強調しました。

予算案の概要と財政健全化への動き

今回の予算案では、28年ぶりに一般会計当初予算のプライマリーバランス黒字化が実現した点も特筆されます。また、超長期国債の発行が減額され、10年債が据え置かれるなど、財政健全化への配慮も見て取れます。高市早苗首相がかねてより提唱する「責任ある積極財政」の理念が、今回の予算編成に強く反映されています。首相は10月24日の衆議院での所信表明演説でも、「『経済あっての財政』の考え方を基本とし、『強い経済』を構築するため、戦略的に財政出動を行う」と明言していました。

公明党控室で談笑しカメラポーズをとる高市早苗首相公明党控室で談笑しカメラポーズをとる高市早苗首相

12月26日の閣議決定後も、高市首相は記者団に対し、「切れ目なく日本列島を強く豊かにするための予算とした。財政規律にも配慮し、強い経済の実現と財政の持続可能性を両立させる予算案ができた」と胸を張りました。この発言は、経済成長と財政規律のバランスを取りながら、日本の課題解決に取り組む姿勢を示すものです。

連立パートナー・日本維新の会の反応と今後の政局

連立政権を組む日本維新の会の藤田文武共同代表は、予算案について26日の会見で評価しつつも慎重な姿勢を見せました。連立合意で約束された高校授業料無償化や学校給食の無償化、OTC(市販薬)類似薬を含む薬剤の自己負担見直しなどが盛り込まれたことについては「スタートに立つことができた」と評価しました。

しかし、藤田氏の表情には疲労感が見て取れると報じられています。これは、自民党との連立以降、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が維新の「政治資金還流疑惑」を報じていることや、12月10日には大阪府議会で自民党の占部走馬府議が維新議員の「国保逃れ疑惑」を取り上げ、波紋を呼んだことなどが背景にあると推測されます。維新はこれらを挽回するため、年明けにも外国人問題に関する提言書を作成し、困難視される外国人受け入れの総量規制に踏み込む方針を示しています。また、スパイ防止法案にも意欲を見せていますが、これには共産党が大反対しており、来年以降も両党の対立が激化する可能性が予想されます。

結論

2026年度当初予算案の閣議決定は、過去最大の歳出規模とプライマリーバランスの黒字化という二つの側面を持ち、高市首相が掲げる「責任ある積極財政」の具体化を示すものとなりました。経済の強化と財政の持続可能性の両立を目指す政府の姿勢が明確になった一方で、連立与党内の力学や野党との対立など、予算案を巡る政治情勢は複雑さを増しています。特に、日本維新の会が直面する課題と今後の政策展開は、来年の政局において重要な焦点となるでしょう。

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