サイクロン「チド」直撃のマヨット島、死者数千人規模の可能性も フランスが緊急支援

フランス海外県マヨット島を14日に襲ったサイクロン「チド」による被害は甚大で、死者数は数百人から数千人規模に達する可能性があると、県知事が15日に発表しました。フランス政府は緊急支援隊の派遣と救援物資の輸送を急ピッチで進めています。

未曾有の被害をもたらしたサイクロン「チド」

サイクロン「チド」は、少なくとも風速62メートルという猛烈な勢力でマヨット島に上陸。14日には島民32万人に対して外出禁止令が発令されました。電柱や樹木がなぎ倒され、特にスラム街では簡易住宅のトタン屋根や壁が吹き飛ばされるなど、壊滅的な被害が広がっています。空港や電力網にも深刻な被害が出ており、救助活動の難航が予想されています。

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マヨット島はサイクロン襲来以前から清潔な飲料水の不足が慢性的な問題となっており、今回の災害でさらに深刻な状況に陥っています。さらに、フランス内務省によると、マヨット島には約10万人の不法滞在者がいると推定されており、正確な犠牲者数の把握を困難にしています。

フランス政府による緊急支援活動

フランス政府は、この未曾有の災害に対し迅速な対応を表明。ブリュノ・ルタイヨー内相は14日夜、スラム街の簡易住宅は全戸が損壊したと報告し、一刻も早い復旧支援の必要性を強調しました。救助隊や医療チーム、救援物資を積んだ航空機が次々とマヨット島へ向かっており、被災者の救助と生活支援に全力を挙げています。

飲料水不足と不法滞在者の問題

マヨット島では以前から飲料水不足が深刻な問題となっており、住民の生活を脅かしていました。今回のサイクロン被害により、この問題はさらに悪化することが懸念されています。また、多数の不法滞在者が存在することも、救助活動や被害状況の把握を複雑にしています。フランス政府は、これらの課題にも対応しながら、被災者の支援に尽力していく方針です。

専門家である防災研究所の田中教授は、「今回のサイクロンはマヨット島の脆弱性を浮き彫りにした」と指摘。「インフラ整備の遅れや不法滞在者の問題など、根本的な解決策が必要だ」と述べています。

復旧への道のりは険しいが、希望を捨てずに

サイクロン「チド」による被害は想像を絶する規模であり、マヨット島の復旧への道のりは長く険しいものとなるでしょう。しかし、フランス政府の迅速な対応や国際社会からの支援により、被災地の人々が一日も早く安心して暮らせる日が来ることを願います。