アルメニアの首都エレバンで握手するロシアのプーチン大統領(右)とアルメニアのニコル・パシニャン首相(23日)=ロイター
ロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構」(CSTO)は23日、アルメニアの首都エレバンで首脳会議を開いた。ロシア以外の加盟5か国の首脳は、ウクライナ侵略を継続するプーチン露大統領と距離を置く姿勢を相次いで示した。旧ソ連構成国の「盟主」として存在感をアピールしようとしたプーチン氏の思惑が外れる形となった。
会合では、侵略の継続に批判的な意見が目立った。タス通信などによると、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は「和平を集団的に模索する時が来た」とプーチン氏に侵略をやめるよう暗に呼びかけた。「停戦を実現するための機会を逃してはならない」とも語った。
ウクライナの隣国で露軍に侵略拠点を提供しているベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、北大西洋条約機構(NATO)によるウクライナへの軍事支援を批判しつつ、「流血を終わらせ、和平交渉の開始が必要だ」と述べた。ルカシェンコ氏はプーチン氏から参戦を再三要請されてきたと伝えられており、紛争に巻き込まれたくない本音を吐露したものとみられる。
さらに、9月にアゼルバイジャンと軍事衝突したアルメニアのニコル・パシニャン首相は、CSTOについて「(アゼルバイジャンによる国境地帯への)侵略を防げなかった」と主張し、共同文書への署名を拒否した。アルメニアは軍事衝突を巡り、CSTOが部隊派遣を見送ったことに強い不満を抱いており、米国に接近する動きを見せている。
一方、プーチン氏は第2次世界大戦で旧ソ連がナチス・ドイツに勝利した歴史に言及し、「我々は真に結束している」と訴えた。今年で創設条約の締結から30年を迎えたCSTOの活動が「目に見える成果を上げている」と存在意義を強調したが、加盟国の間にも厭戦(えんせん)ムードが漂い、孤立化が一層際立った。