米ワシントン・ポスト紙(WP)は23日、ドナルド・トランプ大統領が犯罪、ホームレス、不法移民の取り締まりを強化する方針を打ち出す中、国防総省がイリノイ州シカゴへの軍展開計画を進めていると報じました。この計画は、米国の主要都市における治安維持のあり方について、新たな議論を巻き起こしています。
計画の詳細と背景
国防総省によるシカゴへの軍展開計画は、数週間前から準備が進められており、早ければ9月にも数千人規模の州兵を動員する複数の選択肢が含まれているとされています。この動きは、トランプ大統領が22日に「シカゴはめちゃくちゃだ」と記者団に述べ、首都ワシントンD.C.で実施した治安維持の取り組みをシカゴにも拡大する考えを示したことに端を発しています。同大統領は、国内の治安悪化に対し、連邦政府による強力な介入が必要であるとの立場を強調しています。
トランプ政権の治安強化策により、シカゴへの軍展開計画が浮上する中、ワシントン近郊に位置する米国防総省ペンタゴン
関係機関の反応とイリノイ州の反発
この報道に対し、国防総省は23日夜の声明で、「今後の作戦について推測するつもりはない。国防総省は計画策定機関であり、連邦政府の資産と職員を守る計画について、他の機関と継続的に協力している」と述べ、具体的なコメントを避けました。ホワイトハウスも、トランプ大統領が22日に発表した声明に言及するに留まっています。
一方、イリノイ州のJ・B・プリツカー知事(民主党)は、この計画に強く反発しています。知事は声明で、連邦政府から支援の必要性に関する連絡は一切受けておらず、州兵やその他の軍隊の派遣を正当化するような緊急事態は州内で発生していないと明言しました。連邦政府による軍の動員が、州政府の権限を侵害する可能性や、住民の反発を招く可能性が懸念されています。
まとめ
国防総省によるシカゴへの軍展開計画の報道は、トランプ政権の治安対策強化路線と、それに伴う州政府との対立を浮き彫りにしています。犯罪、ホームレス、不法移民といった社会問題への対応を巡り、連邦政府と州政府の間でどのような調整が行われるのか、今後の動向が注目されます。
参考文献:
- 米国防総省、イリノイ州シカゴに軍展開計画=ワシントン・ポスト紙 (2025年8月23日掲載)