韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外相は18日、ソウルで海外メディア向けの記者会見を行い、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の「非常戒厳」宣言と弾劾訴追による政情不安の中、日米韓3カ国連携の維持と日韓関係強化への決意を表明しました。来年は日韓国交正常化60周年という節目の年であり、趙外相は「意味ある年として記憶されるよう準備を進めていく」と述べ、外交努力を継続する姿勢を強調しました。
混乱続く韓国政局、外交への影響は?
大統領の「非常戒厳」宣言と弾劾訴追という異例の事態に揺れる韓国。この政治的混乱が外交に及ぼす影響について、趙外相は「この2週間、次期米政権との意思疎通に支障があったのは事実」と認めつつも、在米大使館を中心に政策調整に努めてきたと説明しました。
韓国の趙兌烈外相が記者会見
韓悳洙(ハン・ドクス)首相による大統領権限代行体制下においても、外交政策の基調は変わらないと強調。「できるだけ早期に韓国外交を正常化させ、国際社会の信頼回復に全力投球する」と述べ、外交の継続性をアピールしました。国際情勢専門家である朴哲洙(パク・チョルス)氏(仮名)は、「政情不安の中、外交の継続性を強調することで、国際社会の不安払拭を図る狙いがある」と分析しています。
日韓関係強化へ、60周年を機に新たな一歩を
趙外相は、日本との友好協力関係維持の重要性を改めて表明。「日本との関係は、地域の安定と繁栄にとって不可欠」と述べ、日韓関係の強化に意欲を示しました。来年は日韓国交正常化60周年。この節目の年を「未来志向の日韓関係構築の契機とする」と語り、両国間の協力関係を深化させる考えを示しました。
日韓関係に詳しい李秀賢(イ・スヒョン)氏(仮名)は、「日韓両国が協力することで、北東アジアの安全保障環境の改善に繋がる」と期待を寄せています。
日米韓3カ国連携の重要性、揺るぎない姿勢を強調
趙外相は、日米韓3カ国連携の重要性についても言及。「地域の平和と安定、そして北朝鮮の非核化に向けた連携強化に努める」と述べ、揺るぎない姿勢を強調しました。特に、来年1月に発足する第2次トランプ米政権との連携強化が重要課題となるとの見方を示しました。
ソウルで記者会見する韓国の趙兌烈外相
韓国外交筋によると、趙外相はトランプ氏側と強力な人脈を築いてきたとされ、次期米政権との関係構築に重要な役割を果たすと期待されています。しかし、政情不安が長引けば、外交活動にも影響が出かねないとの懸念も残ります。
まとめ
韓国は現在、大統領の「非常戒厳」宣言と弾劾訴追という未曾有の政治的混乱に直面しています。しかし、趙外相は会見で、日米韓3カ国連携の維持と日韓関係強化への強い意志を示しました。来年は日韓国交正常化60周年。この節目の年を機に、日韓関係が新たな段階へと発展することを期待したいところです。