中国在住日本人、南京事件追悼日に不安募る:日本人学校は登校見送る事態に

中国在住の日本人家族にとって、2024年12月13日は例年以上に緊張感漂う一日となりました。南京事件の追悼式典が行われるこの日、子供たちの安全を最優先事項として、多くの日本人学校が休校やオンライン授業に踏み切ったのです。一体なぜこのような事態になったのでしょうか?本記事では、その背景や影響について詳しく解説します。

南京事件追悼日とは?緊迫の背景を探る

南京事件は、日中戦争中の1937年に南京が陥落した際、旧日本軍による捕虜や市民の殺害があったとされる事件です。中国政府は2014年に12月13日を「国家追悼日」に制定し、国家レベルの式典を毎年開催しています。

altalt南京事件追悼式典の様子。多くの市民や政府関係者が参列し、厳粛な雰囲気に包まれました。

今年は、日本人学校の関係者から「今日、中国で同じような事件が起きればほとんどの日本人家族は帰国するだろう」という声も上がるほどの緊迫した状況でした。その背景には、近年の中国における日本人への襲撃事件が影響していると考えられます。今年6月には江蘇省蘇州市で、9月には広東省深セン市で、日本人学校に通う児童や保護者が襲われる事件が発生しました。これらの事件の動機は明らかにされていませんが、9月の事件は満州事変の発端となった柳条湖事件と同じ9月18日に発生したことから、反日感情の高まりが懸念されているのです。

このような状況を受け、在北京日本大使館は12月上旬、中国在住の約10万人の日本人に注意喚起のメールを送信しました。メールでは、12月13日を「特に注意を要する日」として指定し、外出時の安全確保、特に子供連れの場合の対策徹底を呼びかけました。さらに、地元政府や警察にも警備強化を要請しました。

日本人学校の対応:休校やオンライン授業で安全確保

大使館の注意喚起を受け、中国本土と香港にある12の日本人学校は、緊急避難的な措置として7校が休校、残りの5校はオンライン授業に切り替えました。北京や上海などの大都市にある日本人学校もオンライン授業を選択し、子供たちの安全を最優先に考えた対応となりました。

休校やオンライン授業という異例の事態に、保護者からは不安の声も上がっています。「子供たちを学校に通わせられないのは心苦しいが、安全が第一」という声や、「いつまでこのような状況が続くのか不安」といった声が聞かれました。 専門家の中には、日中関係の緊張が背景にあると指摘する声もあり、今後の動向が注目されます。

国家追悼日:8000人が参列、式典の様子

2024年12月13日、午前11時(日本時間)から南京市で国家追悼式典が開催されました。約8000人の市民や政府関係者が出席し、犠牲者を追悼しました。国営の中央テレビは式典の様子や特集番組を繰り返し放送し、国民への啓発を図りました。

日本政府は、歴史認識の問題について真摯に向き合い、中国側との対話を継続していく必要があるでしょう。 また、中国政府も、反日感情の過剰な煽動を抑制し、在中日本人の安全確保に万全を期すことが求められます。

今後の展望:日中関係の改善と安全確保への取り組み

今回の日本人学校の休校やオンライン授業は、日中関係の現状を反映した深刻な事態と言えるでしょう。 今後、日中両国が歴史認識の問題に向き合い、相互理解を深めていくことが重要です。同時に、中国政府は在中日本人の安全確保に一層尽力し、安心して生活できる環境を整備する必要があります。 両国の関係改善と安全な社会の実現に向けて、更なる努力が求められています。