約30年前、1996年に掲載されたある広告が、現代の物価を驚くほど正確に予測していたとして、今、日本のSNSで大きな注目を集めています。当時「大げさだ」と思われたかもしれない物価の予測が、2025年の現実に恐ろしいほど一致していると、多くの人々が衝撃を受けています。
約30年前の1996年に掲載された広告が、現代の物価を驚くほど正確に予測しているとして、SNSで話題を呼んでいます。
1990年代のニューヨークの街並み。物価の予測広告が作られた当時の雰囲気を伝える。
「30年後の物価」を正確に予測した広告の内容
この話題の広告は、アメリカの年金基金「TIAA-CREF」が手掛けたものです。約30年前の広告には、今日の物価と驚くほど一致する以下の予測が記載されていました。
- 「30年後には、こう言われている」
- 「ハンバーガーとフライドポテトが16ドル（約2400円）」
- 「バカンスの費用が1万2500ドル（約190万円）」
- 「普通の車が6万5000ドル（約980万円）」
そして、この衝撃的な予測の下部には、人々の行動を促すかのようなキャッチコピーが記されていました。「何も問題ありません。家で食べましょう。車にも乗りません。そして、どこにも出かけません」。これは、インフレが進んだ未来において、一般的な消費行動がどれほど困難になるかを皮肉を込めて示唆するものでした。
TIAA-CREFの狙いと当時の物価状況
TIAA-CREFは、長年にわたり金融サービスを提供している企業です。この広告は、自社の「投資・保険・個人貯蓄プラン」を宣伝し、「インフレに打ち勝って、望む未来を築こう」と人々に呼びかける目的で制作されました。
しかし、広告が掲載された当時、その予測はやや誇張されていると受け止められていたかもしれません。1990年代のアメリカでは、ハンバーガーの平均価格はわずか84セント（約125円）、ディズニーのホテルは1泊100ドル（約1万5000円）以下で宿泊でき、車の平均価格も1万8777ドル（約280万円）程度でした。これらの当時の物価と比較すると、広告が示す30年後の価格は、非常に高価に感じられたことでしょう。
現代の物価と恐ろしいほどの現実（2025年現在）
しかし、2025年現在、TIAA-CREFの予測は恐ろしいほどの現実となっています。アメリカの都市部では、ハンバーガーとポテトのセットが16ドル（約2400円）を超えることは珍しくありません。また、長期休暇を使った旅行の平均費用は約7400ドル（約111万円）に達し、車の平均価格は4万8841ドル（約730万円）にまで上昇しています。特に、アメリカで主流となっている荷台付き大型車の価格は、6万4790ドル（約970万円）と、広告の予測とほぼ完全に一致する水準に達しています。この事実が、多くの人々に衝撃を与えているのです。
広告制作者が明かす「ネガティブシナリオ」の意図
この画期的な広告を制作したトッド・ヘイマン氏は、米経済誌『アントレプレナー』の取材に対し、制作の背景を語っています。彼は「当時、平均インフレ率をもとに30年後の価格を試算しました。そして、人々が行動を起こしやすいように、ネガティブなシナリオを描こうと決めました」と述べました。つまり、この広告は単なる未来予測ではなく、インフレの脅威を具体的な数字で示し、人々に将来の資産形成や投資の重要性を訴えかけるための戦略的なメッセージだったのです。
SNSでの反響：「予言が現実になった」の声
この「30年前の予言」が現実のものとなったことに対し、SNS上では様々な反応が寄せられています。
- 「ぜんぶ、本当に当たってるっぽい」
- 「これ、まじで今の現実そのものじゃん」
- 「16ドルのハンバーガー！？ どこそれ？ むしろ安く感じる」
- 「ちょうど30年後、これが現実だ。この広告作った人は、国の行く末が見えていたんだね」
といった声が多く見られ、当時の広告が現代社会の物価高騰をいかに正確に捉えていたか、そして将来に向けた経済的な準備がいかに重要であるかを、改めて認識するきっかけとなっています。
参考文献
- BuzzFeed Japan. (n.d.). 1996年の広告が「30年後の物価」を正確に予測しSNSで話題に ハンバーガー16ドル、車6万5000ドル…現実となった「予言」の内容. Yahoo!ニュース. Retrieved from https://news.yahoo.co.jp/articles/a8c417aa949dad0863d246810246d21d4c915f21
- Todd Haiman. (n.d.).
