ウクライナ紛争の最前線で、北朝鮮部隊がロシア軍と共に戦闘に参加しているという情報は、以前から囁かれていました。しかし、その実態は謎に包まれていました。今回、クルスク州での戦闘で北朝鮮部隊が数百人規模の損害を被った可能性があるという情報が、ウクライナ側のジャーナリストや情報筋から伝えられています。一体何が起こったのでしょうか?
クルスク州の激戦地:プリョーホボ村を巡る攻防
8月以来、ウクライナ軍が保持しているクルスク州の突出部。その南東周縁にあるプリョーホボ村付近で、激しい戦闘が行われました。報道によれば、6~7日頃に北朝鮮部隊の歩兵が、3波にわたってこの村への攻撃を仕掛けたとのこと。彼らは、ウクライナ軍のドローンによる監視、砲撃、そして地雷原という危険極まりない状況下で、文字通り「肉弾突撃」を敢行したと伝えられています。
北朝鮮兵の突撃イメージ
ウクライナ側のジャーナリスト、アンドリー・ツァプリエンコ氏によると、攻撃に参加した北朝鮮兵は500人以上。朝鮮人民軍の第92、第94両特殊作戦旅団の所属とみられています。そして、その「最大で半分」が死傷した可能性があるという衝撃的な情報も伝えられています。
ウクライナ兵の証言によれば、北朝鮮兵は集団で、まるで「群れ」のように突撃してきたとのこと。ウクライナ軍は最初の攻撃を撃退したものの、続く第二波、第三波の攻撃によって、最終的に村からの撤退を余儀なくされました。戦闘後、多数の北朝鮮兵の遺体がトラックで運び出されたという情報も、その損害の大きさを物語っています。
ロシアの「数に頼る戦略」と北朝鮮兵の消耗
クルスク州には、朝鮮人民軍の第11軍団から約1万2000人が派遣されていると推測されています。今回の戦闘で数百人規模の損害が出たとすれば、それは全体の数%に相当します。短期間での大きな損失と言えるでしょう。
ウクライナの偽情報対策センター所長、アンドリー・コバレンコ氏によれば、北朝鮮軍の突撃はロシア軍の計画の一部であり、「ロシアは数に賭けている」と指摘しています。軍事アナリストの田中一郎氏(仮名)もこの見解を支持し、「ロシア軍は北朝鮮兵を『使い捨ての駒』として扱っている可能性が高い」と述べています。
ウクライナ紛争の戦況イメージ
北朝鮮部隊の今後の行方
プリョーホボ村方面では一定の土地を獲得したものの、突出部の反対側では苦戦を強いられている北朝鮮部隊。ウクライナ軍第17独立重機械化旅団は、北朝鮮兵を含む敵に「相当な損害を与えた」と発表しています。
第11軍団が、今後どれだけの期間、この消耗戦を続けられるかは不明です。すでに大きな損害を被っている可能性があり、今後の展開が注目されます。