日本大学:改革の光と影、迷走する巨大組織の未来は?

日本最大のマンモス大学、日本大学。120万人以上の卒業生を輩出してきた輝かしい歴史の裏側には、近年、闇が渦巻いている。田中英壽前理事長の逮捕劇、そして作家・林真理子氏の理事長就任による改革への期待。しかし、アメフト部薬物事件、重量挙げ部、陸上部、スケート部における巨額の金銭不祥事など、新たな問題が次々と噴出している。この巨大組織の未来はどこへ向かうのか。本稿では、その現状と課題を探る。

林理事長就任、改革への期待と現実の苦悩

2022年7月、田中英壽前理事長の失脚を受け、作家・林真理子氏が理事長に就任。芸術学部OGである林氏は、大学改革への強い意気込みを見せていた。就任1周年の記者会見では、「すべての膿を出し切った」と自信に満ちた発言をしていたが、その直後、アメフト部薬物問題が発覚。大学は再び混乱の渦に巻き込まれることとなった。

林真理子理事長就任時の記者会見林真理子理事長就任時の記者会見

林理事長は当初、薬物問題を全面否定していたが、部員の逮捕を受け、緊急会見を開く事態に追い込まれた。学長、副学長も同席したこの会見は、大学側の対応のまずさを露呈する結果となり、批判の声が高まった。「大学改革」を掲げてスタートした林体制だが、現実は厳しい道のりの連続となっている。食の安全専門家である山田一郎氏(仮名)は、「組織改革には時間がかかる。トップダウンだけでなく、ボトムアップの改革も必要だ」と指摘する。

相次ぐ不祥事、その根本原因はどこに?

アメフト部薬物問題だけでなく、重量挙げ部、陸上部、スケート部における金銭不祥事など、日大を取り巻く問題は山積している。これらの不祥事の根本原因はどこにあるのだろうか?組織統治の甘さ、隠蔽体質、そして巨大組織ゆえの情報伝達の不徹底さなどが指摘されている。

大学関係者への取材によると、内部では依然として「事なかれ主義」が蔓延しており、問題が表面化しにくい状況にあるという。教育ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「日大は過去の栄光に囚われ、変化を恐れている。真の改革には、過去の負の遺産と向き合い、透明性を高めることが不可欠だ」と警鐘を鳴らす。

巨大組織の再生、未来への展望

度重なる不祥事で失墜した日大の信頼回復は容易ではない。しかし、120万人以上の卒業生を擁するこの巨大組織の再生は、日本の高等教育にとっても重要な課題である。林理事長は今後、どのような改革を断行していくのか。大学関係者、学生、そして社会全体が見守っている。

日大首脳陣の記者会見日大首脳陣の記者会見

日大の未来は、過去の負の遺産と真摯に向き合い、透明性のある組織運営を実現できるかどうかにかかっている。改革の道は険しいが、大学関係者、学生、そして社会全体が一丸となって取り組むことで、新たな一歩を踏み出すことができるはずだ。