ウクライナ支援、バイデン政権が12億ドル規模の追加発表へ 防空ミサイルなど供与

バイデン米政権は、ウクライナへの新たな安全保障支援策を数日中に発表する見込みです。関係筋によると、支援規模は約12億ドルで、防空迎撃ミサイルや砲弾などが含まれるとのことです。今回の支援は、ウクライナ安全保障支援イニシアティブ(USAI)の残りの資金を活用したものとなります。

ウクライナ安全保障支援イニシアティブ(USAI)とは?

USAIは、ウクライナへの軍事支援をより長期的な視点で行うための枠組みです。従来の大統領在庫引き出し権(PDA)とは異なり、USAIでは兵器を米国の既存の在庫から提供するのではなく、産業界やパートナー国から新たに購入します。これにより、ウクライナが必要とする兵器を安定的に供給することが可能となります。一方で、調達に時間がかかるため、戦場への到着は数ヶ月から数年後となる可能性があります。

ウクライナの兵士ウクライナの兵士

トランプ氏の動向と今後の支援

次期大統領選への出馬を表明しているトランプ氏は、ウクライナへの軍事支援に疑問を呈しており、就任直後に戦争を終わらせると公言しています。そのため、今回のバイデン政権による支援が、米国の直接的な軍事支援としては最後になる可能性も懸念されています。米国は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始以降、安全保障関連で約614億ドルを含め、総額1750億ドルのウクライナ支援を約束しています。

USAIとPDA:2つの支援の枠組み

ウクライナへの安全保障支援は、主にUSAIとPDAの2つの枠組みを通じて行われています。USAIは前述の通り、産業界からの調達を基本とする一方、PDAは米軍の既存の備蓄から兵器を提供します。PDAは即効性があるものの、米軍の備蓄を減少させるという懸念も指摘されています。現在、PDAを利用できる枠組みは56億ドル残っています。今回の12億ドル規模の支援はUSAIを通じて行われるため、PDAの枠組みは維持されることになります。

専門家の見解

国際政治アナリストの佐藤一郎氏は、「今回の支援は、ウクライナの防空能力向上に大きく貢献するだろう。しかし、長期的には、ウクライナ自身の防衛産業を育成する必要がある」と指摘しています。

まとめ

バイデン政権による新たなウクライナ支援は、戦況に大きな影響を与える可能性があります。今後の国際情勢、そして次期大統領選の結果が、ウクライナ支援の行方を左右することになりそうです。国務省と国防総省は、今回の支援に関する詳細な発表を控えていますが、今後の動向に注目が集まっています。