韓国経済:内憂外患の嵐に立ち向かう処方箋とは?

韓国経済は今、まさに内憂外患の嵐の中に立たされています。非常戒厳事態以降の政治の不安定さ、世界経済の減速、そして追い打ちをかけるように米国発の金利衝撃。これらの複合的な要因が韓国経済の未来に暗い影を落としています。

米国発金利衝撃とウォン安ドル高の加速

FRB(米連邦準備制度理事会)は18日、政策金利を0.25%引き下げる一方で、来年の利下げペースを遅らせると発表しました。この決定はドル高を招き、韓国金融市場を揺るがしています。韓国株式市場は2%近く下落し、ウォン安ドル高は1ドル=1450ウォン台まで進みました。これは2009年の金融危機以来、15年9ヶ月ぶりの水準です。

韓国ウォンと米ドルの交換レートのグラフ韓国ウォンと米ドルの交換レートのグラフ

韓国は十分な対外資産を保有しているため、ドル不足の懸念は低いとされています。しかし、急激なウォン安ドル高は、過去の通貨危機や金融危機の記憶を呼び覚まし、経済主体に不安感を与えていることは否めません。

中国経済の減速が韓国経済に与える影響

中国経済の減速も深刻な問題です。中国10年国債の利回りは過去最低水準の1%台まで下落し、デフレ懸念も高まっています。中国の金利低下は人民元安、ひいてはウォン安の要因となります。また、中国の内需不振は韓国からの輸出にも悪影響を及ぼします。

韓国経済の潜在成長率も低下傾向にあります。韓国銀行(韓銀)の報告書によると、今後5年間の平均潜在成長率は1.8%に落ち込み、抜本的な構造改革がなければ2040年代には1%を下回ると予測されています。

政治・経済の不確実性払拭が喫緊の課題

韓国経済にとって今最も重要なのは、政治と経済の不確実性を払拭し、政府の危機管理能力を内外に示すことです。フィッチ・レーティングスなどの格付け会社は、政治の不安定さが長期化すれば格下げにつながる可能性があると警告しています。

内需回復のための財政・金融政策

内需回復のためには、積極的な財政・金融政策が必要です。来年1月の韓銀による政策金利引き下げは、為替市場の安定と家計負債の推移が鍵となります。そのため、金融政策に先立ち、補正予算編成による財政強化が急務です。

韓銀の李昌鏞総裁は「補正予算は早いほど良い」と述べ、金東兗京畿道知事は30兆ウォン規模のスーパー補正予算を要求しています。

外国人投資家・格付け会社の視線を意識した政策

経済学者ケインズは、美人コンテストの優勝者を当てるには、自分ではなく他者の見方が重要だと述べています。現在の韓国経済も同様で、外国人投資家や格付け会社の視線を意識した政策が不可欠です。

半導体特別法など、経済界が求める法整備を急ぐ一方で、商法など議論の余地のある法整備は自制する必要があります。対立する局面でも、やるべきことをやるのが国会の責務ではないでしょうか。

韓国経済は厳しい状況に直面していますが、適切な政策対応によってこの難局を乗り越えることができるはずです。政府、国会、そして経済界が一体となって、韓国経済の再生に向けて取り組むことが求められています。