2025年12月8日、青森県東方沖でマグニチュード(M)7.5の地震が発生し、最大震度6強を観測しました。これに伴い、東北・北海道沿岸では津波警報(最大70cm)が発表され、国土地理院は震源に近い場所で東方向に約9cmの地殻変動を確認しています。
後発地震注意情報発表を受け警戒する岩手県釜石市の住民(2025年12月9日)
日本海溝・千島海溝と海溝型地震のメカニズム
三陸沖から択捉島東方沖に広がるプレート沈み込み帯には、「日本海溝」と「千島海溝」が存在します。ここでは、海洋プレートである太平洋プレートが大陸プレートの北米プレートの下へ年間8cmの速度で沈み込み、プレート間にひずみが蓄積されます。今回の地震は、深さ50kmで低角の逆断層状にずれ動いた「海溝型地震」とされています。1968年の十勝沖地震(M7.9)もほぼ同じ場所で発生しました。
巨大地震の歴史と将来への懸念
日本海溝・千島海溝沿いでは、2011年の東日本大震災(M9.0)をはじめ、津波を伴うM9クラスの巨大地震が繰り返し発生してきました。専門家は、近い将来、東日本大震災を超える規模の地震発生も懸念しており、近年も三陸沖から北海道にかけて地震が頻発している状況です。
「後発地震注意情報」とは:前兆と確率
今回の地震後、気象庁と内閣府は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しました。これは、巨大地震に先行してより小さい地震が発生する前例があるため、それを前兆と捉え、住民にさらなる巨大地震への備えを促すものです。例えば、1963年の択捉島南東沖地震ではM7.0の18時間後にM8.5の巨大地震が、東日本大震災ではM7.3の2日後にM9.0の巨大地震が発生した事例があります。
気象庁のデータによると、1904年から2017年の間に世界で発生したM7以上の地震1477事例のうち、発生後7日以内にさらに巨大な地震が発生したのは17例(東日本大震災含む)です。今後さらに大きな地震が起きる確率は100回に1回、すなわち1%程度とされています。今回、北海道の根室沖から東北地方の三陸沖にかけての巨大地震の想定震源域で基準となるM7以上の地震が発生したため、この注意情報の発表に至りました。
今回の「後発地震注意情報」発表は、巨大地震への継続的な警戒と準備の重要性を示唆します。常に最新情報を確認し、冷静な行動を心がけましょう。





