奈良県の税務署に勤務する50代の男性職員が、7年間にわたり親族の所得を偽装し、約158万円もの扶養控除などを不正に受給していたことが発覚しました。大阪国税局は20日、この職員を懲戒免職処分としました。本記事では、この事件の詳細と背景、そして私たちの生活への影響について解説します。
親族の所得偽装、7年間で158万円の不正還付
大阪国税局によると、この職員は2017年から2023年までの7年間、確定申告において親族5人の所得を実際よりも少なく申告。扶養の範囲内に見せかけることで、扶養控除、配偶者控除、障害者控除などを不正に受給し、本来よりも約158万円多く還付を受けていたとのことです。
alt 奈良県税務署職員の不正申告イメージ
まるで手品のように所得を操作していたこの職員。しかし、その巧妙な手口もついに明るみに出ることとなりました。
親族名義でも不正!株配当の水増しや架空事業による控除も
驚くべきことに、この職員の不正行為は自身の確定申告だけにとどまりませんでした。親族名義の確定申告も代行し、株の配当金額を水増しすることで6年間で約43万円の税控除を不正に還付させていたのです。さらに、事業を行っていないにもかかわらず、架空の事業損失を申告することで、6年間で約125万円の税負担を免れていたことも判明しました。
税務の専門家であるはずの職員が、このような不正行為に手を染めていたとは、まさに言語道断です。
勤務先への虚偽申請で扶養手当も不正受給
この職員の不正行為は、税務署内だけにとどまりませんでした。勤務先にも妻と子どもの扶養手当を申請する際、収入の限度額を超えていたにもかかわらず、確認を怠り、資格がないことを届け出ないまま、6年間で約108万円もの手当を不正に受給していたのです。
一体どこまで不正を働けば気が済むのでしょうか。この職員の倫理観の欠如は、深刻な問題と言わざるを得ません。
2022年分の不審点をきっかけに税務調査
この職員の不正行為は、2022年分の確定申告に不審な点があったことから税務調査が開始され、発覚しました。調査の中で、親族の不正な確定申告や扶養手当の不正受給なども次々と明らかになったのです。
税務調査の目はごまかせません。どんなに巧妙に隠蔽工作をしても、必ず真実が明らかになる日が来ます。
職員の言い分と大阪国税局の見解
職員は調査に対し、「今回の一連の行為について反省している。ただ、税務上の偽り、その他不正な行為や仮装隠ぺい行為には該当しない」と話しているとのこと。しかし、確定申告については修正申告し、課された重加算税などはすべて納付したということです。
大阪国税局は、「税務行政に携わる公務員としてあるまじき行為であるとともに、税務行政に対する国民の皆様方の信頼を損なうこととなり、誠に遺憾なものと受けとめ、深くお詫びいたします」とコメントしています。
国民の信頼を裏切ったこの事件は、税務行政の信頼性について改めて考えさせられるものです。私たち一人ひとりが、誠実な納税を心掛けることが重要です。