順天堂大学医学部付属順天堂医院で令和3年2月、72歳女性が胆管検査後に急死した事案で、第三者機関の調査により検査の適切性に疑問が投げかけられています。本記事では、この医療事故の詳細と、遺族による損害賠償請求訴訟の現状について解説します。
胆管検査後の急死:経緯と問題点
令和3年2月、慢性肝炎の疑いがあった72歳女性が、順天堂医院の著名な消化器内科教授の診察を受けました。教授は胆管炎の疑いがあると診断し、女性は検査入院。2月17日、「内視鏡的逆行性胆管膵管造影」(ERCP)と「胆道鏡検査」を受けました。
順天堂大学医学部付属順天堂医院
ERCPでは異常は見られませんでしたが、教授は胆道鏡検査を実施。しかし、検査後に女性は腹痛を訴え、2日後に急性膵炎で死亡しました。
第三者機関による調査結果
国の医療事故調査制度に基づき、日本医療安全調査機構が調査を実施。報告書では、死因となった急性膵炎の重症化について「検査中の膵内胆管損傷が疑われる」と指摘。ERCPで異常がなかったにも関わらず胆道鏡検査を実施した点も「適切とは言い難い」とされました。
さらに、胆道鏡検査のリスク説明が事前になかった点や、腹痛への鎮痛剤投与の判断にも問題が指摘されています。
遺族による損害賠償請求訴訟
遺族は令和4年12月、順天堂医院と教授に対し、約2億2千万円の損害賠償を求める訴訟を提起。不要な検査で死亡したと主張しています。一方、医院側は棄却を求めており、現在も審理が続いています。
専門家の見解
医療訴訟に詳しい弁護士の山田一郎氏(仮名)は、「医療行為の適切性や説明義務違反が争点となるでしょう。第三者機関の報告書は、裁判において重要な証拠となる可能性があります」と述べています。(架空の専門家によるコメント)
胆管検査とリスク:患者が知っておくべきこと
胆管検査は、胆管の異常を診断するために重要な検査ですが、一定のリスクも伴います。検査を受ける際は、医師から検査内容、リスク、合併症について十分な説明を受け、納得した上で受けることが重要です。
今後の課題
今回の事案は、医療における検査の適切性や説明義務の重要性を改めて問うものです。医療現場では、患者中心の医療の実践と、医療安全の徹底が求められています。
この医療事故の真相究明と再発防止策の確立が期待されます。