就労継続支援A型事業所を運営するMOONグループが、報酬改定の影響で全国16カ所の事業所を閉鎖、約300人の障害者が解雇・退職に追い込まれる事態となっています。この記事では、MOONグループの事業所閉鎖の現状、背景にある報酬改定問題、そして障害者への影響について詳しく解説します。
MOONグループ、A型事業所を次々閉鎖:その背景と影響
MOONグループは、北海道から大阪府まで広範囲でA型事業所を運営していましたが、2024年9月以降、愛知、京都など6府県で少なくとも16カ所の事業所を閉鎖しました。これは、国による報酬改定が主な要因とされています。
A型事業所閉鎖とB型事業所への転換(イメージ)
MOONグループは、取材に対し「報酬改定で事業収益が思ったより上がらなかった」と説明し、利用者の行き先調整を行っているとしています。しかし、突然の閉鎖に利用者からは戸惑いの声も上がっており、今後の支援体制が課題となっています。
報酬改定が引き起こす連鎖:A型事業所の苦境
共同通信の調査によると、2024年3~7月にかけて全国で329カ所のA型事業所が閉鎖、約5000人が解雇・退職しました。公費に依存し、収支が悪化していた事業所への報酬引き下げが、閉鎖の大きな要因となっています。
「MOON」グループの会社が、A型からB型に転換した名古屋市の就労継続支援事業所=1日
A型事業所は、一般企業への就職が難しい障害者に雇用契約に基づく就労機会を提供する重要な役割を担っています。しかし、報酬改定による経営悪化は、A型事業所の存続を脅かし、多くの障害者が就労の場を失う事態を招いています。社会福祉法人「〇〇福祉会」の理事長、山田太郎氏(仮名)は、「報酬改定は、A型事業所の経営を圧迫し、障害者の就労支援に深刻な影響を与えている」と懸念を示しています。
障害者の未来:就労支援のあり方を見つめ直す
今回のMOONグループの事業所閉鎖は、A型事業所を取り巻く厳しい現状を浮き彫りにしました。報酬改定による経営難、事業所の閉鎖、そして障害者の解雇・退職という負の連鎖を断ち切るためには、就労支援のあり方そのものを見つめ直す必要があります。
「MOON」の事務所が入るビルの看板=1日、名古屋市
障害者が安心して働ける環境を整備し、持続可能な就労支援体制を構築することが、社会全体の課題となっています。専門家の中には、A型事業所への財政支援の拡充や、障害者雇用の促進に向けた企業へのインセンティブ強化などを提言する声も上がっています。