宮崎空港で発生した不発弾爆発。79年の時を経て、なぜ今爆発したのか? その謎を解き明かすべく、時限式爆弾の仕組みや背景、専門家の見解を交えて詳しく解説します。
79年後の爆発、その真相とは
2024年10月2日午前8時頃、宮崎空港で衝撃的な出来事が起こりました。突如、地中に埋まっていた太平洋戦争中の米国製500ポンド爆弾が爆発。誘導路に大きなクレーターを作り、4便の離陸直前に発生したこの爆発は、一歩間違えれば大惨事につながる可能性もありました。
alt宮崎空港の誘導路に残された爆発の爪痕。不発弾の爆発は、空港機能に大きな影響を与えた。
自衛隊の調査により、この爆弾には「延期信管」と呼ばれる時限式の起爆装置が装着されていたことが判明。この信管は、プロペラ状の羽根の回転を利用し、着弾後一定時間が経過すると有機溶剤がセルロイド製のストッパーを溶かし、撃針が作動して爆発する仕組みです。設定時間によって1時間から144時間後まで爆発時間を調整できたようですが、気温などの影響で誤差が生じることもあったといいます。
時限爆弾投下の真意
宮崎空港は、かつて旧日本海軍の赤江飛行場として運用され、沖縄戦では特攻基地としても利用されていました。米軍が時限爆弾を投下した目的は、飛行場の機能を長期にわたって麻痺させ、復旧作業を妨害することにあったと考えられています。
戦時中の兵器研究の専門家である山本達也氏(仮名)は、「時限爆弾は、いつ爆発するか分からないという心理的圧迫を与える効果もあった」と指摘。特攻作戦の拠点であった宮崎空港への攻撃は、日本軍の士気を削ぐ狙いもあったと分析しています。
なぜ今、爆発したのか? 79年の謎
79年もの間、地中に眠っていた爆弾がなぜ今になって爆発したのか。その原因究明は容易ではありません。山本氏は、「何らかの振動がきっかけで、ひび割れていたアンプルが完全に破砕された可能性も考えられるが、起爆プロセスがどの段階で停止し、何をきっかけに再始動したのかを特定することは難しい」と述べています。
信管には、セルロイド製のストッパー以外にも、固定球と呼ばれる金属球が存在し、複雑な構造をしていることも原因究明を難航させている一因です。
未だ残る戦争の爪痕
今回の爆発は、戦争の爪痕が現代社会にも影を落としていることを改めて認識させる出来事となりました。過去の悲劇を繰り返さないためにも、不発弾処理の重要性を再認識し、平和への意識を高める必要があります。
今回の宮崎空港の不発弾爆発は、私たちに多くの疑問を投げかけます。79年の時を経て、突如として現代社会に牙をむいた戦争の記憶。その謎の解明は、未来への教訓となるはずです。