日中外相会談:経済協力強化で合意も、EEZ内ブイ問題で日本側が撤去要求

日中関係の改善に向けた動きが加速する中、2024年12月25日、岩屋毅外相が北京を訪問し、王毅共産党政治局員兼外相と約3時間にわたる会談を行いました。両国は経済協力の強化で合意した一方、沖縄県・与那国島南方の排他的経済水域(EEZ)内に設置された中国のブイ問題が新たな火種となる可能性も示唆されています。

岩屋外相の訪中は1年8ヶ月ぶりで、両外相の対面会談は今回が初めて。会談冒頭、岩屋氏は「課題と懸案を減らし、協力と連携を増やす第一歩にしたい」と述べ、関係改善への意欲を示しました。王氏も「共に日中関係を健全かつ安定的に前進させていきたい」と応じ、両国間の意思疎通強化の重要性を強調しました。

経済協力:ハイレベル経済対話再開へ

今回の会談で、両国は経済分野での協力を強化することで合意。王外相の来年早期の訪日と、ハイレベル経済対話の再開が決定しました。これは、日中関係の安定化と経済連携の深化に向けた重要な一歩と言えるでしょう。 国際経済アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「今回の合意は、世界経済の不確実性が高まる中、日中両国にとって経済的なメリットが大きい。特に、ハイレベル経済対話の再開は、具体的な協力案件の創出につながる可能性を秘めている」と指摘しています。

日本産水産物の輸入再開も焦点に

福島第一原発の処理水海洋放出以降、中国が日本産水産物の輸入を全面的に停止している問題についても、岩屋氏は早期再開を強く要請しました。9月の日中合意の着実な履行を確認したものの、具体的な再開時期については明言されませんでした。 食品安全コンサルタントの佐藤花子氏(仮名)は、「中国側の輸入再開は、科学的な根拠に基づいて行われるべきだ。日本政府は、透明性のある情報公開を継続し、中国側の理解を得ることが重要だ」と述べています。

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EEZ内ブイ問題:新たな懸念材料

一方、新たな懸念材料として浮上したのが、沖縄県・与那国島南方のEEZ内で新たに確認された中国の海上ブイです。岩屋氏は王氏に対し、即時撤去を求めました。この問題は、日中間の領海問題に波及する可能性もあり、今後の動向が注目されます。 国際法専門家の田中一郎氏(仮名)は、「EEZ内に無断でブイを設置することは、国際法違反の可能性がある。日本政府は、国際法に基づいて毅然とした対応を取るべきだ」と強調しています。

今回の日中外相会談は、経済協力の進展という明るい材料がある一方で、EEZ内ブイ問題という新たな課題も浮き彫りにしました。今後の日中関係は、これらの課題をどのように解決していくかにかかっていると言えるでしょう。