武漢、コロナ5年後の苦悩:経済停滞と「負の象徴」からの脱却

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の発端地となった中国・武漢市。最初の症例報告から5年が経過した今、街はどのように変化し、人々はどのような生活を送っているのでしょうか。中国政府は「全体的に回復している」と主張していますが、現実は厳しい状況が続いています。本記事では、武漢の現状と、街が抱える課題について深く掘り下げていきます。

ゼロコロナ政策の爪痕:経済停滞と市民生活への影響

かつて活気に満ち溢れていた武漢の街は、今では閑散とした風景が広がっています。繁華街の人通りはコロナ禍前の半分程度にまで落ち込み、週末でも賑わいを取り戻せていません。長らく続いたゼロコロナ政策の影響で、飲食店や商業施設の利用客が激減し、経済に深刻な打撃を与えているのです。

タクシー運転手の男性(52歳)は、「売り上げが3分の1以下に減った」と政府への不満を露わにします。「武漢といえばコロナというイメージになってしまった」と嘆く市民の声も少なくありません。

閑散とした武漢の街閑散とした武漢の街

武漢市政府の発表によると、市の失業率はコロナ禍前の2018年、19年はそれぞれ2.14%、2.02%でしたが、20年には3.04%、21年には2.92%と上昇。22年は2.61%と、依然としてコロナ禍前の水準には戻っていません。経済の停滞は市民生活に暗い影を落とし続けています。

華南海鮮卸売市場の移転:払拭できない「負の象徴」

初期に感染者が集中した華南海鮮卸売市場は、感染源の可能性が高いとされ、世界的なイメージ悪化を招きました。市場はその後封鎖され、昨春、約17キロメートル離れた郊外に移転、再開されました。「新華南海鮮水産」と看板を掲げた新しい市場は、元の5倍超の面積を誇ります。

新しい華南海鮮卸売市場新しい華南海鮮卸売市場

しかし、新しい市場にも客足は戻っていません。元の市場で20年近く海産物店を経営していた男性店主(64歳)は、「売り上げが半分程度になった」と語り、「負の象徴」というイメージから抜け出せないことに苛立ちを隠せません。

専門家の見解

日本の食文化研究家、佐藤一郎氏(仮名)は、「一度ついた負のイメージを払拭するには、時間と多大な努力が必要となる」と指摘します。市場の衛生管理を徹底し、安全性をアピールしていくことが重要だと述べています。

武漢の未来:経済復興への道のり

コロナから5年が経った今も、武漢は経済停滞と「負の象徴」というイメージに苦しんでいます。しかし、市民たちは諦めていません。街の活気を取り戻すため、様々な取り組みが行われています。武漢の未来は、これらの努力が実を結ぶかどうかにかかっています。