「ラヴィット!」低視聴率でも続く理由:TBS朝の異例な番組戦略とは

平日朝の生活情報バラエティ番組「ラヴィット!」(TBS)は、世帯視聴率2%台、個人視聴率1%台(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と低迷が続いています。同時間帯の他局と比較しても最下位争いを繰り広げているにもかかわらず、「打ち切り」の噂は全く聞こえてきません。なぜこのような状況が続いているのでしょうか。その背景には、テレビ局の独自の戦略があるようです。

朝の番組戦線とTBSの挑戦

朝8時台は、民放各局がワイドショーや情報番組でしのぎを削る激戦区です。TBSもかつては「ビビット」(2015年3月〜19年9月)、「グッとラック!」(19年9月〜21年3月)といった情報番組でこの時間帯に挑みました。しかし、いずれも視聴率は振るわず、最終的にはワイドショー路線から撤退する決断を下します。そして、2021年3月29日、ニュースを一切扱わない純粋なバラエティ番組として「ラヴィット!」がスタートしました。

民放プロデューサーからは「始まる前から“勝負にならない”“誰も見ない”“編成のミス”と散々な言われようだった」との声も聞かれました。実際、初回世帯視聴率は2.7%に留まり、同時間帯トップの「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)の10.6%、「スッキリ」(日本テレビ)の8.8%、「めざまし8」(フジテレビ)の6.2%には遠く及びませんでした。

低迷する視聴率とその原因

「ラヴィット!」は、その後も時折3〜4%を記録するものの、大抵は2%台で推移しています。現在4年目を迎える中で、テレビ東京の韓流ドラマにすら視聴率で負ける日があるほど、数字が上向く気配は全く見られません。

この低視聴率の主な原因として、民放プロデューサーは「この時間帯にバラエティを見たいと思う視聴者が少ない」点を指摘します。さらに、視聴者には朝の番組視聴に関する強いルーティーンが存在します。「朝ドラ」から「あさいち」へとNHKを見続ける層、「モーニングショー」や「ZIP!」(日テレ)の固定客、そして「DayDay.」(日テレ)や「サン! シャイン」(フジ)のようなタレントMCの情報ワイドショーに期待する視聴者層がその大半を占めており、新たなバラエティ番組が割って入る余地が少ないのが現状です。

ラヴィット!MCを務める川島明氏ラヴィット!MCを務める川島明氏

前番組との比較:なぜ「ラヴィット!」は続くのか?

新参の番組が固定された視聴習慣を破るのは困難であることは理解できます。しかし、低視聴率を理由にわずか1年半で打ち切られた前番組「グッとラック!」も世帯視聴率は1〜2%と、「ラヴィット!」とそれほど大きな差はありませんでした。それにもかかわらず、「ラヴィット!」が4年間も継続しているのは極めて異例の状況と言えるでしょう。この番組が低視聴率でありながらも継続されている背景には、TBSの朝番組に対する特定の戦略や、視聴率以外の評価軸が存在する可能性が示唆されます。

結論

「ラヴィット!」の低視聴率は継続していますが、打ち切りの噂が全くないという事実は、TBSがこの番組に特別な位置づけを与えていることを物語っています。朝の激戦区で、ニュースを扱わない純粋なバラエティ番組という独自路線を貫くTBSの戦略は、従来の視聴率至上主義とは異なる新たな評価基準に基づいているのかもしれません。今後の「ラヴィット!」、そしてTBSの朝番組戦略の動向は、業界内外から引き続き注目されることでしょう。

参考資料

  • ビデオリサーチ調べ
  • ヤフーニュース (news.yahoo.co.jp/articles/57829936439608f4c99a24e5ee748ce7dbe0ba86)