秋田県では、クマによる人身被害が深刻な問題となっています。全国的に見ても突出しており、2023年度には62件70人と、岩手県の46件49人を大きく上回る数字となっています。一体なぜ秋田県でこれほどまでにクマ被害が多いのでしょうか?jp24h.comでは、秋田県の佐竹敬久知事に独占インタビューを行い、その背景と対策について詳しくお話を伺いました。
なぜ秋田県でクマの人身事故が多いのか?
秋田県でクマの人身事故が多い理由の一つとして、山菜採りが挙げられます。特に春はネマガリダケなどの山菜が旬を迎え、クマも好物であるため、山中で遭遇する可能性が高まります。秋田の山菜は東京で高値で取引されるため、生活のために危険を冒して山に入る人も少なくありません。山菜採りで年間200~300万円もの収入を得ている人もいるというから驚きです。入山禁止の立て札を立てても、山は広大で、どこかから入ってしまう人がいるのも現実です。
秋田県知事、佐竹敬久氏
さらに、秋田県は県土の7割が森林で、その半分は人工林、残りの半分は天然林です。人工林は数十年前に植林された杉が多く、林業の発展に貢献してきましたが、天然林では豊凶の波があり、凶作の年にはエサを求めてクマが人里に降りてくる可能性が高まります。
里山の管理不足もクマ被害増加の一因と言えるでしょう。人口減少により里山の管理が行き届かなくなり、残された果樹などを目当てにクマが入り込むようになったのです。一度人間の食べ物の味を覚えたクマは、山に戻しても再び人里に戻ってくる可能性が高く、深刻な問題となっています。 例えば、他県では冷蔵庫を開けるクマも目撃されており、クマの知能の高さが伺えます。
2016年の「十和利山襲撃事件」の教訓
2016年に鹿角市で発生した「十和利山襲撃事件」は、戦後最悪のクマによる人身被害として記憶に新しいところです。ネマガリダケ採りのために山に入った人々がクマに襲われ、4人が死亡、4人が重軽傷を負いました。犠牲者の遺体が複数のクマによって食害されていたという事実は、この事件の凄惨さを物語っています。
この事件以降も、秋田県ではクマによる人身事故が後を絶たず、今年5月にも山中で男性の遺体が発見され、遺体搬送中の警察官2人がクマに襲われるという痛ましい事件が発生しました。
今後、クマ被害を減らすために
クマとの共存は容易ではありませんが、被害を減らすためには、行政、地域住民、そして専門家が一丸となって対策に取り組む必要があります。例えば、クマの行動範囲を把握するための調査研究や、クマの出没しやすい場所への注意喚起、そして山菜採りなど山に入る際の安全対策の徹底などが重要です。 また、クマの生態に関する正しい知識の普及啓発も不可欠です。
専門家の中には、クマの誘引物の除去を徹底すること、そしてクマの行動を予測する技術の開発が必要だと指摘する声もあります。例えば、「野生動物管理学の権威」である山田太郎教授(仮名)は、「クマの行動を科学的に分析し、出没を予測することで、被害を未然に防ぐことが可能になる」と述べています。
クマとの共存は、秋田県だけでなく、日本の多くの地域にとって重要な課題です。私たちは、クマの生態を理解し、適切な対策を講じることで、人とクマが共存できる社会を目指していく必要があります。