今月6日に大阪市内の神社でボヤがあり、「イスラム教徒が放火し、『邪教だから火をつけた』と供述している」との情報がSNSで拡散された。読売新聞の取材に、大阪府警は、子どものいたずらとみて、落ち葉が焦げた事案を調べているとした一方で、供述について「そうした事実はない」と否定した。
府警西淀川署幹部によると、6日頃、大阪市西淀川区の神社で、落ち葉が焦げるボヤが発生。7日、関係者から連絡があり、防犯カメラなどを調べたところ、敷地内でマッチが投げ入れられ、焼け焦げた跡があることを確認した。建物への延焼はなかった。同署では、関与したとみられる10歳前後の男女の子ども数人から事情を聞いており、いたずらとみている。
拡散元とみられるのは、大阪府神社庁が府内の各神社に送った注意喚起の文書。文書には、この神社でのボヤについて「犯人はイスラム教徒で『邪教だから火をつけた』と供述しているとのこと」と記されている。
この文書を添付し、「外国人との多文化共生など無理な話」などと書き込んだ投稿が15日以降、X(旧ツイッター)で拡散。16日午後7時時点で約500万回表示されていた。投稿はその後、削除された。
読売新聞の取材に、西淀川署幹部は子どもが信仰する宗教について確認しておらず、「邪教だから火を付けた」という供述はないとしている。
読売新聞が16日午後、府神社庁に電話で取材したところ、文書を府内の各神社にファクスしたことを認めたうえで、文書の内容について「(この神社の)宮司からそう報告があった」と説明した。
一方、この神社の宮司への取材では「邪教だから火をつけた」とする内容に関して「そのような報告はしていない」としており、両者の説明は食い違っている。