近年、「下流老人」や「老後破産」といった言葉が頻繁に聞かれるようになり、老後の生活に対する不安が高まっています。豊かな老後を送るためには、一体どれくらいのお金が必要なのでしょうか?この記事では、厚生労働省の「2023年 国民生活基礎調査」と「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータに基づき、年金受給額の実態と、老後資金の準備について考えていきます。
高齢者世帯の平均所得と年金受給額のギャップ
厚生労働省の「2023年 国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯の平均所得は約305万円、月換算で約25万4千円となっています。この所得の内訳は、公的年金・恩給が62.9%、稼働所得(雇用、事業、農業など)が26.1%を占めています。年金が所得の大部分を占めていることが分かります。
では、実際の年金受給額はどれくらいなのでしょうか?
厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の受給者平均年金は約14万7千円です。平均所得の約25万円と比較すると、大きなギャップがあることが分かります。
高齢者と年金手帳のイメージ
年金受給額の地域格差
都道府県別の厚生年金受給額を見ると、地域によって大きな格差があることが明らかになっています。神奈川県が約16万7千円と最も高く、次いで千葉県、東京都と続きます。一方で、青森県は約12万4千円と最も低く、全国平均を大きく下回っています。
地方の高齢者の中には、年金収入だけで生活するのが困難なケースも多く、生活保護に頼らざるを得ない状況も少なくありません。
「老後の生活資金設計アドバイザー」として活躍する山田一郎氏(仮名)は、「都市部と地方の年金受給額の格差は、生活費の差も考慮すると、より深刻な問題と言えるでしょう。地方の高齢者は、生活費が比較的安いとはいえ、医療や介護サービスへのアクセスが都市部よりも制限される場合もあり、生活の質を維持するために更なる資金が必要となる可能性があります」と指摘しています。
老後2000万円問題を考える
平均年金受給額が約15万円という現状を踏まえると、老後2000万円問題が現実味を帯びてきます。生活費、医療費、介護費などを賄うためには、年金以外の収入源や貯蓄が不可欠です。
高齢化が進む日本では、年金制度の持続可能性も課題となっています。将来の年金受給額が減少する可能性も考慮し、早いうちから老後資金の準備を始めることが重要です。
老後資金準備のポイント
- 支出の見直し:家計簿をつけ、無駄な支出を減らす
- 資産運用:長期的な視点で、リスクを抑えた投資を行う
- 副収入:健康状態に合わせて、無理のない範囲で副業を検討する
年金問題に悩む高齢者のイメージ
まとめ
年金受給額の実態を把握し、早いうちから老後資金の準備を始めることが、安心して老後を送るための鍵となります。この記事が、読者の皆様の老後設計の一助となれば幸いです。