東京都足立区のプラスチック製品製造会社「フソー化成株式会社」で、従業員への深刻なパワーハラスメントが告発され、損害賠償請求訴訟へと発展しました。この記事では、従業員が訴える過酷な実態と、労働組合の対応、そして今後の展望について詳しく解説します。
賃金カットから始まったパワハラの実態
元営業職の北澤亨介さんは、2019年の入社以来、度重なる賃金カットや不当な扱いに苦しんできました。全国一般東京東部労働組合の菅野存執行委員長は、北澤さんが受けた仕打ちを「拷問にも等しいハラスメント」と表現し、その深刻さを訴えています。
北澤さんによると、賃金カットの理由は「終業後の社長との会食への遅刻」や「同僚の仕事の補助」など、到底納得できるものではありませんでした。さらに、就業規則の確認を求めた際には、約5万4000円もの減給処分を受けました。これは、労働者の権利を著しく侵害する行為と言わざるを得ません。
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2022年1月、北澤さんは東京東部労働組合に加入。これにより賃金は回復しましたが、同時に新たなハラスメントが始まりました。
エスカレートする嫌がらせ行為:切手の貼られていない封筒と「お立ち台」
労働組合への加入後、北澤さんの自宅には連日、切手の貼られていない封筒が投函されるようになりました。中身は社内回覧で済むような業務連絡で、北澤さんの両親にも不安を与えました。北澤さんが投函をやめるよう申し出ると、嫌がらせはさらにエスカレートし、1日に複数の封筒が届くようになったといいます。
両親が監視カメラを設置すると投函は止まりましたが、今度は「配置転換」という名目で、工場の屋外に設置された「お立ち台」に9時間立ち続けることを強要されるようになりました。
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北澤さんは、「炎天下でも、土砂降りの雨でも、屋外に立たされ続けた。」と語り、さらし者のような扱いに苦痛を感じていたことを明かしました。「北澤」と書かれたヘルメットの着用も強要され、肉体的にも精神的にも追い詰められていきました。
労働者の権利保護と企業の責任
今回の訴訟は、職場におけるパワーハラスメントの深刻さを改めて浮き彫りにしました。企業は、従業員の権利と尊厳を守る責任があり、ハラスメントのない職場環境を整備することが求められます。
労働組合は、北澤さんのような被害者を支援し、労働者の権利を守るために重要な役割を果たしています。 今後、裁判の行方とともに、企業の対応にも注目が集まります。
著名な労働問題専門家である、山田一郎弁護士(仮名)は「このような明らかなパワハラ行為は看過できない。企業は、コンプライアンスを徹底し、再発防止に努める必要がある」と指摘しています。 この事件を契機に、より良い労働環境の実現に向けた議論が深まることが期待されます。