一人暮らしの高齢化が進み、2040年には75歳以上の独居率が約23%に達すると予測されています。まさに4人に1人が一人暮らしという時代が到来しようとしています。50代といえば、仕事や子育てが一段落し、人生の後半戦に差し掛かる時期。老後はまだ先とはいえ、周囲では健康や薬、お墓の話などが話題になり始める頃でもあります。特に一人暮らしの場合、老後への不安は避けられないものです。
しかし、一人暮らしだからこそ、身軽にセカンドライフを謳歌できる可能性も秘めているのです。コレモッタ株式会社代表取締役の広沢かつみ氏は、「老後に何を残したいかを考え、選んでいくことが重要」と述べています。今回は、広沢氏の新刊『「何を残すか」で決まるおひとりさまの片づけ』(青春出版社刊)を参考に、快適なセカンドライフを送るための片付け術をご紹介します。
快適な住まいはセカンドライフの最重要ポイント
以前は、一人暮らしの老後に対して「寂しくないの?」「何かあったら心配」といった声が聞かれることが多かったかもしれません。しかし、生涯未婚率や離婚率の上昇、そして死別によって、一人暮らしの高齢者は今後も増加の一途を辿ると予想されます。
実際、一人暮らしの女性は充実した日々を送っている方が多いようです。ある女優の方が、舞台上で離婚調停中であることを告白した際、既婚者からは心配の声が上がった一方、離婚経験者からは「楽しいよ!」という反応が返ってきたというエピソードがあります。これは、一人暮らしの楽しさを物語っていると言えるでしょう。もちろん、夫婦生活の喜びも大きいですが、一人暮らしが性に合っている人は、その自由さを満喫すべきです。
そこで重要となるのが、住まいの環境です。老後、部屋が物であふれていると、掃除や料理などの家事が困難になり、片付けが億劫になってさらに散らかっていくという悪循環に陥りがちです。火災や地震などの災害時に、物が散乱していると避難経路を塞ぎ、命の危険にさらされる可能性も高まります。高齢者にとって、物の散乱は様々なリスクを招くのです。
快適な一人暮らしの部屋
自分らしい空間で過ごす心地よさ
50代から始まるセカンドライフは、平均寿命を考えると20年以上続くことになります。長い時間を過ごす住まいは、何もないミニマリストの部屋である必要はありません。(もちろん、何もない部屋が好きな方はそれで良いのですが。) 大切なのは、自分の好きな物、好きなインテリア、好きな色に囲まれた、心地よい空間を作ることです。
散らかっている部屋と、好きなものに囲まれた部屋は全く違います。好きな物は残して良いのです。散らかった部屋とは、紙袋や箱、好きでも嫌いでもない「もったいない」「高かった」「いつか使うかも」といった物であふれた部屋のことです。
最近は、インスタグラムやブログなどで個人のインテリアが発信されており、様々な住まいを見ることができます。きっと「こんな部屋が良いな」と思う写真が見つかるはずです。その部屋の物の量が、自分にとって心地よい量である可能性が高いでしょう。
片付けのプロからのアドバイス
有名な整理収納アドバイザーの佐藤麻衣子さんは、「快適な空間作りのポイントは、まず自分がどんな空間で過ごしたいかを明確にすること」とアドバイスしています。 自分の理想の空間をイメージし、それに合わせて物を整理していくことで、より満足度の高い住まいを実現できるでしょう。
心地よい住まい作りの第一歩
一人暮らしの老後を快適に過ごすためには、住まいの環境整備が不可欠です。「何を残したいか」を基準に物を整理し、自分にとって本当に必要な物を選び抜くことが大切です。快適な住まいは、心豊かなセカンドライフの基盤となるでしょう。