観音寺に安置されていた金銅観音菩薩坐像が、12年ぶりに故郷へ戻ることになりそうです。2012年に韓国人窃盗団によって盗難されたこの貴重な仏像は、所有権を巡る長い裁判を経て、ついに日本への返還が現実味を帯びてきました。本記事では、この「対馬仏像盗難事件」の経緯と、今後の返還プロセスについて詳しく解説します。
対馬仏像盗難事件とは?
2012年10月、韓国人窃盗団が長崎県対馬に侵入し、観音寺の金銅観音菩薩坐像と海神神社の銅造如来立像を盗み出しました。この事件は「対馬仏像盗難事件」として大きな波紋を呼び、日韓関係にも影響を与えました。
窃盗団の検挙と所有権紛争の始まり
窃盗団は韓国で検挙され、銅造如来立像は2015年に日本へ返還されました。しかし、金銅観音菩薩坐像については、韓国の浮石寺が所有権を主張。浮石寺側は「倭寇による略奪品」と主張し、返還に反対していました。
韓国の浮石寺
長期にわたる法廷闘争
この所有権を巡る争いは、長きにわたる法廷闘争へと発展しました。2017年には大田地裁が浮石寺の所有権を認めましたが、2023年2月、大田高裁はこの判決を覆し、観音寺の所有権を認めました。さらに、同年10月には大法院(最高裁)も観音寺側の勝訴を確定させ、ついに決着がつきました。
返還への道筋:浮石寺による法要と観音寺への引き渡し
所有権紛争が決着した後、浮石寺は判決を受け入れる姿勢を示しました。ただし、返還前に浮石寺で100日間の法要を行うことを希望し、観音寺側もこれを承諾しました。
法要の実施と返還時期
浮石寺は2025年2月中旬頃から法要を開始する予定で、5月末に終了する見込みです。そのため、金銅観音菩薩坐像の観音寺への返還は、2025年6月頃になると予想されています。
文化財保護の重要性
今回の事件は、文化財保護の重要性を改めて認識させる出来事となりました。文化財は、歴史や文化を伝える貴重な遺産であり、未来へと継承していくべきものです。 美術史専門家の田中博士(仮名)は、「今回の返還は、文化財保護における国際協力の重要性を示す好例となるでしょう」と述べています。
まとめ:12年の歳月を経て、ついに故郷へ
12年の歳月を経て、金銅観音菩薩坐像がついに観音寺へ戻ることになります。この貴重な文化財が、本来の場所で大切に保管され、多くの人々の目に触れることを願っています。