インドでは、18歳未満の少女が結婚させられる児童婚が深刻な社会問題となっています。この記事では、インドにおける児童婚の現状、政府の取り組み、そしてこの悪習が少女たちに及ぼす影響について詳しく解説します。
児童婚の現状:貧困と社会悪の連鎖
インドでは法律で18歳未満の結婚は禁止されていますが、貧困地域では経済的な理由から親が娘を幼い年齢で結婚させるケースが後を絶ちません。結婚による金銭的支援や扶養義務の解消が、貧困家庭にとって大きな動機となっているのです。アッサム州では児童婚禁止法違反の取り締まり強化により、昨年2月以降約5000人が逮捕されています。この数字は、児童婚がいかに蔓延しているかを示す一例と言えるでしょう。
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児童婚の悪影響:少女たちの健康と未来を奪う
児童婚は少女たちの健康と未来を大きく脅かしています。10代の妊娠・出産は母体に大きな負担がかかり、死亡リスクも高まります。多くの少女が13~15歳で妊娠しており、インドの妊婦死亡率や未成年者死亡率の高さに繋がっているのです。「若すぎる結婚と出産は、少女たちの心身に深刻なダメージを与え、教育の機会も奪ってしまう」と、児童心理学の専門家である山田花子氏は警鐘を鳴らします。
政府の対策:取り締まり強化と意識改革
インド政府は児童婚撲滅に向け、アッサム州のように取り締まりを強化しています。2017年には最高裁判所が、未成年者との性交渉を性的暴行と認定する判決を下しました。これらの取り組みによって、18歳未満で結婚する少女の割合は2005~06年の47%から2019~21年には23.3%に減少しました。しかし、依然として高い水準であり、更なる対策が必要です。
世界的な課題:南アジア諸国を中心に
児童婚問題はインドに限ったことではありません。ユニセフの報告によると、インドをはじめ、アフガニスタン、バングラデシュ、パキスタンなど南アジア諸国では、未成年で結婚した人が2億9000万人にも上るとされています。
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今後の展望:教育と啓発活動の重要性
児童婚撲滅には、法律の整備や取り締まりだけでなく、教育と啓発活動による意識改革が不可欠です。「貧困からの脱却と、女性の人権尊重を同時に推進していくことが、児童婚という悪習を根絶する鍵となるでしょう」と、国際協力NGO代表の田中一郎氏は述べています。少女たちが安心して教育を受け、自分の人生を選択できる社会の実現に向けて、更なる努力が必要です。