井上あずみさんといえば、スタジオジブリの名作『天空の城ラピュタ』の主題歌『君をのせて』や『となりのトトロ』の主題歌でおなじみの国民的歌手。昨年8月、40周年記念コンサートのリハーサル中に脳出血で倒れ、緊急搬送されたというニュースは、多くのファンに衝撃を与えました。コンサート当日、一体何が起こったのか?過酷なリハビリを経て、再びステージに立つまでの道のりとは?今回は、井上あずみさんご本人から、その壮絶な体験と家族の支えについて伺いました。
40周年コンサート当日に起きた悲劇
高血圧の持病がある井上さんは、普段は薬を服用しているものの、コンサート当日は「最高の状態でパフォーマンスをしたい!」という一心から、薬を飲まなかったそうです。緊張と興奮で前夜は一睡もできず、リハーサル中に異変を感じ始めたと言います。
「立ったり座ったりするたびに、体がガクッとなるんです。何かおかしいな、とは思っていたのですが…」。そして、ついに『君をのせて』を歌っている最中、ろれつが回らなくなってしまったのです。異変に気づいた娘の侑夕さんが駆け寄り、「ママ、ろれつが回ってないよ?」と声をかけると、井上さんは「え?ほんとに?」と答えた直後に意識を失い、床に倒れ込んでしまいました。
井上あずみさんと娘の今尾侑夕さん
幸いなことに、マイクはゆっくりと床に置かれたそうで、後日談として「高価なマイクを壊しちゃいけない、と思ったんでしょうね(笑)」と井上さんは明るく語ってくれました。しかし、この時の状況はまさに生死を分ける瀬戸際でした。
娘・侑夕さんの冷静な判断と対応
当時、救急搬送が困難な状況だったにも関わらず、娘の侑夕さんは冷静に119番通報し、救急隊員への的確な情報提供、病院へのスムーズな搬送を可能にしました。井上さんはその時の記憶がないものの、侑夕さんが嘔吐の時間などを詳細に記録し、救急隊員に報告していたことを後で聞き、深く感謝したと言います。「医療関係者の方ですか?」と尋ねられるほど、侑夕さんの行動は的確で迅速だったそうです。まさに、娘の機転と勇気が井上さんの命を救ったと言えるでしょう。
音楽一家に育ち、自身も歌手として活躍する侑夕さん。歌手活動だけでなく、母のマネージャーも務めているそうで、まさに井上さんの右腕として活躍しています。今回の緊急事態においても、冷静な判断と的確な行動で母を支え、まさに家族の絆の強さを感じさせるエピソードです。
困難を乗り越え、未来へ
井上さんは、この経験を通して改めて健康の大切さを実感し、現在は健康管理にも気を配りながら活動を続けているそうです。脳出血という大きな困難を乗り越え、再びステージに立つ井上あずみさんの歌声は、きっと多くの人の心に響くことでしょう。