北朝鮮の厳しい情報統制の実態が、脱北女性の口から語られました。韓国ドラマ視聴を理由に友人が銃殺刑に処されたという衝撃的な証言、そして自由を求めて命がけの脱北を決意した背景とは?本記事では、姜ギュリさんのインタビューを通して、北朝鮮の現状に迫ります。
韓流ブームと厳しい取り締まり
一見ソウルの女性と変わらない、明るく染めた髪に白いコートをまとった姜ギュリさん。都内のカフェで行われたインタビューで、彼女は北朝鮮での生活、そして脱北の経緯を語りました。『梨泰院クラス』『キム秘書はいったい、なぜ?』といった人気の韓国ドラマも北朝鮮の若者の間で密かに楽しまれているようですが、金正恩政権は韓流文化の流入に強い警戒心を抱き、厳しい取り締まりを強化しています。
明るく染めた髪に白いコートをまとった姜ギュリさん
反動思想文化排撃法、青年教養保障法、平壌文化語保護法など、次々と制定される法律によって、ドラマの視聴や拡散はもちろん、韓国式の言葉遣いさえも禁じられています。姜さん自身も、服装を理由に軍人に呼び止められ、調査を受けた経験があるとのこと。スマートフォンも検査され、韓国式の言葉遣いがないかチェックされていたといいます。
銃殺された友人、そして脱北を決意
姜さんは摘発を免れましたが、彼女の友人は韓国ドラマを視聴したという理由で警察署に連行され、その後銃殺されたと聞いています。この事件は姜さんに大きな衝撃を与え、北朝鮮からの脱出を決意させるきっかけとなりました。
命がけの脱出劇
2023年10月、姜さんは母、おば、船員の計4人で木造船に乗り、北朝鮮を脱出しました。警備艇の追跡、銃撃を受けながらも、44時間もの漂流の末、韓国にたどり着いたのです。「死んだら違う国で生まれ変わりたい」という強い願い、そして自由への渇望が、彼女を突き動かしました。
北朝鮮人権映画上映会で証言する姜ギュリさん
自由への希求、そして未来への希望
北朝鮮の裕福な家庭で育ち、物質的には恵まれていた姜さん。それでも彼女が脱北を決意したのは、北朝鮮には自由がないことを痛感していたからです。「できることは、とても限られていた」と語る姜さんの言葉からは、抑圧された生活の苦しさが伝わってきます。北朝鮮の人権問題に詳しい専門家、李(仮名)氏も、「韓流文化への取り締まり強化は、情報統制を強め、体制維持を図る金正恩政権の焦りの表れと言えるでしょう」と指摘しています。
まとめ
姜さんの証言は、北朝鮮における人権侵害の深刻さを改めて浮き彫りにしました。自由を求める人々の声、そして厳しい現実を、私たちは決して忘れてはなりません。