韓国ウォンが対ドルで急落し、1ドル=1500ウォン目前という危機的な状況に陥っています。27日のソウル外国為替市場では一時1ドル=1486ウォンまでウォン安ドル高が進み、2009年以来のウォン安水準を記録しました。一体何がウォン安を加速させているのでしょうか?そして、韓国経済への影響は? 本記事では、ウォン安の背景と今後の見通し、そして株式市場への影響について詳しく解説します。
ウォン暴落の引き金:ハン・ドクス首相弾劾案
今回のウォン急落の最大の要因は、ハン・ドクス首相の弾劾案可決です。弾劾案をめぐる政局の混乱がウォン安に拍車をかけています。特に、国務委員らが弾劾案に集団反発したことが市場の不安を増幅させました。
チェ・サンモク副首相兼企画財政部長官は、「国家的な非常事態において、経済と民生は政治的不確実性の拡大に耐えられない」と発言。国政の不安定さがウォン安を加速させるとの懸念を表明しました。この発言を受け、ウォンは一時1ドル=1486ウォン台まで急落しました。
ドル高基調もウォン安に追い打ち
ウォン安の背景には、米国の堅調な経済指標も影響しています。26日に発表された米国の新規失業手当申請件数は市場予想を下回り、雇用情勢の堅調さを示しました。雇用が好調であれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースも鈍化し、ドル高につながります。最近のFOMCで来年の利下げ回数が下方修正されたこともあり、ドル高基調がさらに強まっています。
ウォン安ドル高の推移を示すグラフ
1ドル=1500ウォンも現実味?専門家の見解
専門家の中には、1ドル=1500ウォン水準までウォン安が進む可能性を指摘する声もあります。ウリィ銀行のミン・ギョンウォン研究員は、「現在の不安定な為替レートは通貨当局の介入では制御しきれない可能性がある」と警告。政局の不安定さが長期化すれば、1ドル=1500ウォンという事態も想定しなければならないと述べています。
韓国株式市場への影響は?
ウォン安ドル高の進行は、韓国株式市場にも大きな影響を与えています。27日のKOSPIは前日比1.02%安の2404.77で取引を終えました。外国人投資家と機関投資家が売り越しに殺到し、KOSDAQも下落しました。新韓投資証券のイ・ジェウォン研究員は、「ウォン安に加えて、首相弾劾という前例のない政治リスクが投資家の不安を増大させている」と分析しています。
韓国株式市場の推移を示すグラフ
今後の見通しと課題
今後のウォン相場は、政局の安定と米国の経済指標に大きく左右されると考えられます。韓国政府は、市場の安定化に向けた対策を講じる必要があります。また、企業は為替リスクへの対応策を強化することが重要です。今後の動向に注視していく必要があるでしょう。