韓国首相弾劾可決で政局混迷深化、経済への影響懸念も

韓国国会は27日午後、野党が主導する韓悳洙(ハン・ドクス)首相の弾劾訴追案を可決しました。この動きは、大統領不在の中、国政の空白をさらに深刻化させるものとして、国内外から懸念の声が上がっています。 大統領弾劾からわずか2週間での首相弾劾という異例の事態に、韓国の政治的不安定性はかつてないほど高まっています。

国際社会の反応は?

世界の主要メディアは、今回の弾劾劇を一斉に報道し、韓国の政治的混乱と経済への影響を懸念しています。

  • ニューヨーク・タイムズ紙は、「韓国のリーダーシップ危機が深まった」と指摘し、米国の重要な同盟国である韓国の指導体制の不安定さを問題視しました。また、臨時指導者の弾劾は韓国史上初であり、政府と軍の責任の所在に新たな疑問を投げかけていると報じています。
  • BBCは、「政治的膠着状態と不確実性がさらに深刻になるだろう」との見方を示しました。
  • ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、弾劾は韓国の政治的混乱を解決するための超党派の協力の失敗を反映していると分析しました。

韓国国会議事堂韓国国会議事堂

韓国経済への影響は?

すでに北朝鮮の核脅威や国内経済問題に直面している韓国にとって、政治の不安定化は企業や消費者の信頼感をさらに低下させる要因となります。

  • ワシントン・ポスト紙は、高官の外交活動の中断や金融市場の混乱を招く可能性があると指摘しています。
  • ガーディアン紙は、韓国の国際的イメージの失墜を懸念しています。
  • ニューヨーク・タイムズ紙は、韓国経済の成長鈍化と輸出減少への懸念を深めるものだと分析し、韓国株式市場の下落をアジア主要地域の株価上昇と対比させました。
  • ブルームバーグ通信は、半導体需要の減少やトランプ前大統領の保護主義政策への対応など、韓国経済が直面するリスクを悪化させると指摘しています。また、弾劾案可決直後にウォンが対ドルで下落したことを報じました。
  • シュピーゲル誌は、企業環境と消費者心理の悪化により、2009年3月以来のウォン安ドル高になったと報じています。

専門家の見解

経済アナリストのキム・ヨンチョル氏(仮名)は、「今回の首相弾劾は、韓国経済にとって大きな打撃となるだろう。政治の混乱は、企業の投資意欲を減退させ、消費を冷え込ませる可能性がある。政府は、経済への影響を最小限に抑えるために、迅速かつ適切な対策を講じる必要がある」と述べています。

韓国ウォン韓国ウォン

弾劾訴追案の表決基準

今回の弾劾訴追案の表決基準をめぐっても、与野党間で対立がありました。

  • 日本経済新聞は、首相弾劾の前例がなく明確な規定もない中、野党は過半数、与党は3分の2以上を主張したと報じています。 権限代行の首相に対する弾劾訴追は前例がなく、明確な規定がないことから、今回の表決基準をめぐって与野党間で激しい議論が交わされました。

憲法学者の見解

憲法学者のパク・ミンホ氏(仮名)は、「首相弾劾の法的根拠が明確でないため、今後の憲法解釈や政治的慣例に大きな影響を与える可能性がある」と指摘しています。

今後の展望

崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官が権限を継承すると予想されていますが、政局の混迷は避けられそうにありません。 今後の政局の行方、そして韓国経済への影響に、世界中が注目しています。

この未曾有の政治危機を韓国はどのように乗り越えていくのでしょうか。今後の動向から目が離せません。