「富豪が住み、豪邸が並ぶ関西屈指の住宅街」という華やかなイメージを持つ芦屋。しかし、その実態や、そこに暮らす女性たちの真の姿を知る人は少ないかもしれません。昼間から高級ワインを傾け、一人1万円ものランチを楽しむといったセレブな暮らしの裏側には、どのような現実が隠されているのでしょうか。フリーライター加藤慶氏の著書『誰も知らない「芦屋」の真実 最高級邸宅街にはどんな人が住んでいるか』(講談社)から一部を抜粋し、芦屋の「セレブ」たちの素顔と、その世界に潜む複雑な人間関係に迫ります。
芦屋セレブの「品位」を測る基準:時計が語る富の格差
輸入車に乗り、有名ブランドのバッグを持つことは、セレブを自認する女性たちの共通スタイルです。しかし、彼女たちによれば、これらは「一度買ってしまえば維持費は安いもの」であり、真の「品位」を示すものではないと言います。では、何が芦屋セレブの格付けを決定するのでしょうか。その答えの一つが「時計」です。
「つけている時計を見れば、すぐにお金があるかないかがわかる」と、ある女性は語ります。時計は価格帯が幅広く、毎年新作を購入できるのはごく一部の富裕層に限られます。たとえ数百万円の時計を2つ持っていても、新しいものを購入し続けなければ、芦屋セレブの上位クラスとは認められない厳しい現実があるのです。女性たちの目は鋭く、500万円クラスの時計を年に数個購入しているといった細部まで、見ているふりをしてもしっかりとチェックしているのです。
高級住宅街芦屋のイメージ写真
大半は「成り上がり」?芦屋セレブの意外な実態
芦屋のセレブたちの多くは、世間がイメージするような旧家の子女や代々の資産家ではありません。彼女たちの発言からは、その意外な実態が浮かび上がってきます。「夫の職業はあいまい」「結婚前に夫が詐欺で逮捕されていた人もいる」など、その背景には時に驚くべき事実が隠されています。自由な金銭的余裕がある家庭の多くは、中小企業の社長であるケースが多いようです。
「本当のセレブもいるけれど、大半が成り上がり」という率直な意見も聞かれます。昼間からワインを飲みながらランチを楽しむ女性医師や女性弁護士はほとんどおらず、彼女たちの多くは、あくまでも「セレブを演じている」に過ぎないという側面も指摘されています。ある女性は、自身のセレブ生活を「自己顕示欲を満たすため」「子供が私学に通い始めたら、こんな生活もできなくなる。今だけの楽しみ」と語り、その刹那的な側面を明かしています。
芦屋セレブグループ間の複雑な人間関係と暗黙のルール
芦屋には複数のセレブグループが存在し、中には複数のグループを掛け持ちする人もいます。しかし、主要メンバーたちは掛け持ちを快く思わないこともあり、トラブルを避けるためにグループ間の交流をインスタグラムにアップしないなど、暗黙の配慮が存在します。この閉鎖的なコミュニティの中では、妬み、嫉み、僻みといった感情が渦巻いており、それが人間関係をより複雑にしています。
芦屋セレブの舞台裏は、表面的な華やかさとは裏腹に、実に過激で文章にはできないような生々しい人間模様が繰り広げられているのです。
結論
芦屋の高級住宅街に住む「セレブ」たちの世界は、一般に抱かれる優雅で完璧なイメージとは異なる、多層的で時には厳しい現実を秘めています。高価な時計で品位を測り合う文化、多くの「セレブ」が「成り上がり」であるという実態、そしてグループ間の複雑な人間関係と暗黙のルールは、この特別なコミュニティの真実に光を当てます。表面的な輝きの裏には、自己顕示欲や一時的な楽しみ、そして人間関係における微妙な緊張感が常に存在しているのです。
参考文献
- 加藤慶 (2023). 『誰も知らない「芦屋」の真実 最高級邸宅街にはどんな人が住んでいるか』 講談社.





