務安国際空港墜落事故:遺族の悲痛な叫びと疑問の声

務安国際空港で起きた済州航空2216便の墜落事故。29日午後、空港ロビーには搭乗者の家族約400人が集まり、不安と悲しみに暮れる姿が見られました。愛する家族の無事を祈りながら、刻一刻と過ぎる時間の中で、彼らの胸中は焦燥感でいっぱいでした。

墜落事故現場からの生々しい報告

29日午後2時ごろ、務安国際空港1階に集まった搭乗者の家族ら約400人(c)MONEYTODAY29日午後2時ごろ、務安国際空港1階に集まった搭乗者の家族ら約400人(c)MONEYTODAY

事故発生から数時間後、空港ロビーは悲嘆に暮れる遺族の姿で溢れかえっていました。60代の男性は、義兄が搭乗していたことを明かし、「まるで他人の事のようだった」と憔悴しきった様子で語りました。70代の女性は、嗚咽しながら階段を下りる途中で倒れそうになり、夫に支えられる姿も。また別の女性は、「娘がいなくなったら…」と繰り返し呟き、すすり泣いていました。

遺族の怒りと疑問、そして高まる不満

情報不足と対応の遅れに、遺族の不満は高まっていました。「4時間も待たされているのに、何も変わらない」「テレビを見ることしかできないのか」と、怒りを露わにする遺族の声も。ブリーフィングの回数も少なく、情報がテレビを通してしか得られないことに対する憤りも募っていました。

午後3時10分頃、釜山地方航空庁長が合同ブリーフィングを開き、身元確認を急ぐと述べました。消防当局によると、午後4時現在で22名の身元確認が完了。名前が呼ばれるたびに、遺族は泣き崩れていました。

身元確認の遅れ、その背景

身元確認に時間がかかった理由として、消防当局は「遺体の損傷が激しかったケースや、身分証の有無の確認に時間を要した」と説明。科学捜査隊約40人が出動し、身分証と指紋の確認作業にあたりました。

専門家からの指摘、胴体着陸の判断に疑問の声

今回の事故を受け、専門家からは様々な疑問の声が上がっています。滑走路に特殊な泡「フォーム」が敷かれていなかったこと、代替滑走路の検討、燃料消費手順の有無など、胴体着陸の判断そのものにも疑問符が投げかけられています。

ある航空宇宙学科教授は、「胴体着陸の場合、空港側はフォームを散布し、着陸時の衝撃を軽減するのが基本。なぜこのような準備がない状態で胴体着陸を強行したのか疑問だ」と指摘しています。今回の事故は、航空安全における様々な課題を浮き彫りにしました。

今後の調査と対策に期待

墜落事故の原因究明はこれからですが、遺族の悲しみと向き合いながら、再発防止に向けた徹底的な調査と対策が求められています。二度とこのような悲劇が繰り返されないよう、関係機関には迅速かつ透明性のある対応が期待されます。