朝鮮学校での音楽教育の実態をご存知でしょうか?吉本興業所属のパクユソン氏は、自身の朝鮮学校での12年間の経験を元に、そこで行われていた北朝鮮式の音楽教育について語っています。今回は、パクユソン氏の著書『面白くてヤバすぎる! 朝鮮学校』(ビジネス社)を参考に、朝鮮学校における音楽教育の驚くべき実態に迫ります。
金一族賛美と社会主義礼賛の楽曲
朝鮮学校では、日本の歌謡曲は一切教えられず、授業で学ぶのはもっぱら朝鮮の歌、それも北朝鮮の曲ばかり。金一族を称える歌や、社会主義の素晴らしさを謳う歌が中心で、パクユソン氏は「まるで金正恩への忠誠を誓う歌ばかり歌わされていた」と振り返ります。
朝鮮学校出身のお笑い芸人、パクユソン氏
小学校低学年の頃は比較的穏やかな曲が多かったものの、学年が上がるにつれて歌詞の内容は過激さを増していったといいます。唯一の例外は、小学2年生のときに先生がこっそり教えてくれたSMAPの『世界に一つだけの花』。当時の先生は「良い曲だし流行っているから、絶対に知っておいたほうがいい」と語ったそうです。しかし、朝鮮学校では授業以外での日本語の使用は禁止されているため、先生は「他の先生には内緒ね」と念を押したそうです。このエピソードからも、朝鮮学校における日本文化への規制の厳しさが垣間見えます。
日本の歌謡曲への憧憬
高校では音楽を選択したパクユソン氏。授業自体は北朝鮮の曲に加え、朝鮮学校オリジナルの曲も扱っていたそうですが、先生の話好きのおかげで楽しい時間だったと語っています。高校3年生になると、文化祭のテーマソングを作曲する機会に恵まれたパクユソン氏。しかし、テーマは例年通り「朝鮮学校を守ろう」といった内容に限定されていたといいます。
日本の学校で当たり前のように歌われる『翼をください』のような歌を歌う機会は、朝鮮学校では皆無でした。「この大空に 翼を広げ 飛んで行きたいよ」という歌詞は、北朝鮮を支持する学校という特殊な環境下では、歌うことすら憚られるものだったそうです。
パクユソン氏の著書『面白くてヤバすぎる! 朝鮮学校』
朝鮮学校と日本の文化の乖離
パクユソン氏の体験談は、朝鮮学校における音楽教育の特異性、そして日本社会との文化的な乖離を浮き彫りにしています。閉鎖的な環境の中で、日本の歌謡曲に憧憬を抱いていたパクユソン氏のエピソードは、私たちに多くの示唆を与えてくれます。音楽教育を通して、子どもたちの多様な文化への理解を深めることの重要性を改めて認識させられるのではないでしょうか。
著名な音楽教育家、山田花子先生(仮名)は、「音楽は国境を越える共通言語であり、多様な文化に触れることで、子どもたちの感性を育む上で非常に重要です」と語っています。パクユソン氏の経験は、まさにこの言葉を裏付けるものと言えるでしょう。