韓国南西部、全羅南道の務安国際空港で発生した旅客機事故。179名もの尊い命が失われたこの悲劇の原因究明が急ピッチで進められています。事故機は着陸時に車輪の異常により減速できず、炎上。韓国メディアは、バードストライク(鳥衝突)の可能性を指摘しており、国土交通省と警察は30日より本格的な調査を開始しました。
バードストライク発生率、務安空港が全国ワースト1?
務安空港は渡り鳥の飛来地である水辺に近接しているという地理的特性があります。韓国空港公社が野党議員に提出した資料によると、2019年から2024年8月までのバードストライク発生率は務安空港が0.09%と、全国14空港の中で最も高かったことが明らかになりました。運航便数の多い金浦国際空港が0.018%、済州国際空港が0.013%であることと比較すると、その発生率の高さが際立ちます。もちろん、単純な比較は難しいものの、務安空港におけるバードストライクのリスクの高さが改めて浮き彫りとなりました。
韓国務安国際空港で起きた旅客機事故現場で、対応にあたる当局者ら
事故発生の可能性、既に指摘されていた?
報道によると、現在進行中の務安空港の滑走路拡張工事の前に実施された環境調査において、既にバードストライクの危険性が指摘されていたとのこと。2020年に作成された報告書で、担当業者はバードストライクのリスクの高さを警告していたとされています。政府は事故発生の可能性を事前に把握していたにも関わらず、有効な対策を講じなかったのではないかという批判の声が高まっています。
専門家の見解
航空安全の専門家であるキム・ソンチョル氏(仮名)は、「バードストライクは航空機にとって深刻な脅威であり、特に着陸時におけるリスクは計り知れない。空港周辺の環境調査を徹底し、鳥の飛来を抑制するための対策を講じる必要がある」と指摘しています。
今後の調査の焦点
今後、国土交通省と警察は、事故機のブラックボックスを解析するなどして、事故原因の究明を進めていく方針です。バードストライクが事故の直接的な原因となったのか、それとも他の要因が絡んでいるのか、徹底的な調査が求められています。二度とこのような悲劇を繰り返さないためにも、原因究明と再発防止策の策定が急務となっています。