韓国政界に激震が走っています。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に、ソウル西部地方裁判所が逮捕状を発付しました。高官犯罪捜査庁(高捜庁)が内乱及び職権乱用の疑いで請求したもので、現職大統領の逮捕は韓国史上初となります。戒厳令発令を巡る一連の騒動は、韓国の民主主義の根幹を揺るがす事態へと発展しています。
戒厳令発令の背景と逮捕状発付までの経緯
尹大統領は12月3日夜、野党の行動を「内乱を企てる反国家行為」と非難し、戒厳令を発令しました。これに対し、国会は戒厳令解除を要求する決議案を可決。尹大統領は翌4日未明に戒厳令を解除しましたが、この強硬な措置が、今回の逮捕劇の引き金となりました。高捜庁は尹大統領を「内乱の首謀者」とみなし、3度にわたる出頭要請にも応じなかったことから、逮捕状請求に踏み切りました。
alt尹錫悦大統領(2023年4月撮影)
尹大統領の代理人である尹甲根(ユン・カプグン)弁護士は、高捜庁には内乱罪事件の捜査権限がなく、逮捕状発付は不当だと主張しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。大統領は憲法で不訴追特権が保障されていますが、内乱罪は例外となるため、今回の逮捕状発付に至ったのです。
国会による弾劾訴追と今後の展望
国会は既に12月14日、戒厳令発令は違憲だとして、尹大統領に対する弾劾訴追案を可決しています。尹大統領は職務停止となりましたが、警護などの特権は維持されたまま、大統領官邸で生活を続けていました。憲法裁判所は180日以内に弾劾訴追の是非を判断することになり、妥当と判断されれば尹大統領は失職、60日以内に大統領選挙が行われることになります。
歴代大統領の逮捕劇と比較
韓国では過去にも、全斗煥、盧泰愚、朴槿恵、李明博の各氏が大統領退任後に身柄を拘束され、実刑判決を受けています。今回の尹大統領の逮捕は、現職大統領としては前例のない事態であり、韓国政治史に大きな汚点を残すことになりそうです。
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戒厳令発令の真意と今後の韓国情勢
戒厳令発令の真意、そして今後の韓国情勢については、様々な憶測が飛び交っています。尹大統領の強硬な姿勢の背景には何があったのか、そしてこの事件が韓国社会にどのような影響を与えるのか、予断を許さない状況が続いています。今後の動向に注目が集まっています。