臨時国会が12月17日に閉幕し、日本の政界は来年1月下旬に召集される次期通常国会での攻防に向けて、各党が戦略の再構築を模索しています。特に注目されるのは、連立与党を組む自民党と日本維新の会の連携の行方、そして国民民主党の存在感の増大です。高市早苗首相(自民党総裁)と日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)の間には強固な信頼関係があるとされますが、連立合意に記された政策の実現には課題も山積しています。
自維連立の現状と課題
自民党と日本維新の会は、連立合意の「センターピン」と吉村氏が位置づける「衆議院の議員定数1割削減」のための関連法案の成立を目指してきました。しかし、この法案は臨時国会で審議すら行われず、次期通常国会への継続審議を余儀なくされています。両党は国勢調査の結果が判明する来春までの決着を目指していますが、野党のみならず自民党内にも根強い抵抗があり、「政治改革委員会で棚ざらしのまま、通常国会でも結論は先送りされる」との見方が広まっています。
国民民主党との連携強化と維新の懸念
12月18日には、高市首相と国民民主党の玉木雄一郎代表が会談し、両党間の懸案だった「年収の壁」の178万円への引き上げで合意しました。玉木代表はこれを機に「信頼関係はより醸成された。予算の成立に向けて協力していく」と述べ、将来的な連立入りへの可能性を示唆しています。
与党党首会談後、握手する高市早苗首相(左)と日本維新の会・吉村洋文代表。
これに対し、維新側は表向き「国民民主党の協力による政権安定化は歓迎する」としていますが、自民党内で麻生太郎副総裁らが国民民主党との連携強化に注力してきた経緯もあり、維新幹部の間では「連立政権における維新の主導権が奪われかねない」との不安も隠せないようです。
高市人気と自民党内の「早期解散論」
このような自民・維新連立の「薄氷化」を踏まえ、高市首相の変わらぬ人気を背景に、自民党内では「早期解散論」が台頭しています。自民党の狙いは「議席大幅増による連立政権での主導権回復」にあり、「早期解散断行なら、自維連立は即崩壊する」との見方もあります。その背景には、「国会議員でもない吉村氏に振り回される状況は我慢できない」という自民党内の本音が根強く存在するとされています。
吉村代表の対応と連立維持への意欲
一方で、吉村代表は18日の民放番組で「衆院解散は首相の大権であり、反対する立場にはない」と述べました。さらに、16日の与党党首会談を通じて「高市首相は解散などまったく考えていない」と語り、自民・維新連立の維持・強化に対する高市首相の決意を評価し、歓迎する意向を繰り返し表明しています。
今後の展望
自民党と日本維新の会の連立は、重要法案の停滞、国民民主党の台頭、そして自民党内の解散風といった複数の要因によって複雑な局面を迎えています。高市首相と吉村代表の個人的な信頼関係が、これらの政治的圧力の中でどこまで連立を維持・強化できるかが、今後の日本政治の大きな焦点となるでしょう。





