韓国務安国際空港で発生したチェジュ航空旅客機墜落事故は、搭乗者179名の尊い命が奪われる大惨事となりました。この事故を受け、チェジュ航空の安全管理体制に疑問の声が上がっています。実は、今回の事故機は3年前にも別の事故を起こしていたことが明らかになったのです。
3年前の事故とチェジュ航空の説明の食い違い
JTBCの報道によると、韓国空港公社は国会国土委員会に、今回の事故機と同一の機体が3年前に事故を起こしていたと報告しました。民主党の朴竜甲議員室の調査によれば、2021年2月17日、金浦空港から済州空港へ向かう離陸中に、機体後部が滑走路に接触し損傷したとのこと。この時の機体の登録符号は「HL8088」、まさに今回の務安空港で墜落した機体と同じです。
当時、国土部はチェジュ航空に対し、安全規定違反として2億2000万ウォンの課徴金を科しました。しかし、チェジュ航空は今回の事故後、「事故履歴はない」と説明していました。この矛盾について、チェジュ航空は「3年前の事故は軽微であり、航空法上は事故ではなく事件に分類されるため、事故履歴はないと説明した」と釈明しています。
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チェジュ航空、老朽化と行政処分多数の現状
チェジュ航空の安全管理体制への懸念は、機体の老朽化にも向けられています。航空技術情報システム(ATIS)によると、チェジュ航空の航空機の平均機齢は14.4年。これは大韓航空(11.4年)やアシアナ航空(12.3年)よりも2~3年長く、格安航空会社(LCC)の中でも最も高い数値です。
さらに、チェジュ航空は航空法規違反による行政処分も最多となっています。国会国土交通委員会所属の李蓮喜議員室が国土交通部から提出させた資料によると、2020年から2024年9月までの間、韓国の10社の航空会社が航空安全法違反などで計36回の行政処分を受けています。そのうち、チェジュ航空は9回と最多で、大韓航空の8回、ティーウェイ航空の7回と続いています。チェジュ航空は昨年も運航および整備規定違反で11日間の運航停止処分を受けており、2022年にも同様の違反で運航停止処分を受けています。また、2019年から2024年8月までに納付した課徴金もチェジュ航空が最多となっています。
事故原因究明と再発防止策の徹底が急務
今回の事故は、チェジュ航空の安全管理体制の甘さを露呈したと言えるでしょう。今後、事故原因の徹底的な究明と再発防止策の確立が急務です。航空会社の安全管理は、乗客の命を預かる重大な責任を伴います。関係当局は、厳正な調査を行い、再発防止に向けた具体的な対策を講じる必要があります。 乗客の安全を守るためにも、航空業界全体の意識改革と安全文化の醸成が求められています。