「東洋大学卒業」としていた学歴が「除籍であることが判明した」と述べた静岡県伊東市の田久保真紀市長は2日の記者会見で自らの進退を問われ、「仕事に穴をあけるのは信条に反する」と続投に意欲を示した。除籍に至った経緯については明言を避け、「不真面目な大学生活だった」「不徳の致すところ」などとあいまいな答えに終始。東洋大卒業としたのは「勘違いと言われれば、勘違い」と弁明した。記者の質問が続く中、約1時間で会見を打ち切った。
田久保氏は会見で、6月28日に東洋大の窓口に出向き、卒業証明書の発行を試みたと説明。その際に初めて「除籍」扱いになっていることが判明したと釈明した。
疑惑の発端となり、田久保氏が「怪文書」としてきた市議全員に届いた文書が「除籍」としてきた内容が事実だと明らかになった形。田久保氏は会見で、自ら除籍を確認したときに「(『これはどういうことなんだろう』と思った。非常に怖い思いをしている」と述べ、個人情報の漏えいを示唆する態度を示した。
東洋大での在学年数などを問われると、田久保氏は「自由奔放な生活で、バイクに乗って住所不定のような状況。不真面目な学生でいつまで通っていたというような通学状況ではなかった」とあいまいに答え、自らが卒業したと認識していたかどうかについても明言しなかった。
田久保氏は今年5月の市長選を前に、報道機関の取材に大学卒業と答えていた。この日の会見では「(除籍されていることは)想定していなかった」と弁明した。
会見に同席した弁護士は、田久保氏が「東洋大卒」と公表せず、学歴を重視して選挙戦を展開していたわけでもないとして「公職選挙法には違反しない」と主張した。
田久保氏はまた、多くの人から「『辛いからといって逃げるな』という声をいただいている」と語り、現時点で市長を退任する考えはないことを明らかにした。自らの支持者に対しては「投票したみなさんが後ろめたい思いを抱える必要はない」と述べた。
伊東市議会は、田久保氏に学歴詐称疑惑が浮上したことを受けて、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置する方針を固めている。