韓国務安(ムアン)国際空港で発生したチェジュ航空機墜落事故。韓国国土交通部は、事故原因はバードストライク(鳥衝突)によるものとの見解を示しています。パイロットが着陸復行時に「バードストライクがあった」とメーデーを発信していたことが確認されたためです。2024年12月29日の記者会見で、柳景水(ユ・ギョンス)航空安全政策官は、管制塔からの鳥類活動への注意喚起からわずか2分後に、パイロットがバードストライクを報告しメーデーを発信したと説明しました。
韓国の務安(ムアン)国際空港チェジュ航空旅客機惨事翌日の30日、全羅南道(チョルラナム)務安総合スポーツパーク合同焼香所で一人の弔問客が涙を拭っている。
事故規模の拡大に繋がった要因とは?
しかし、179名もの犠牲者を出したこの大惨事には、バードストライク以外にも要因があったのではないかと専門家たちは疑問を呈しています。
滑走路末端の丘の存在
滑走路末端にあるコンクリート製の丘が、事故の規模を拡大させた可能性が指摘されています。計器着陸装置(ローカライザー)が設置されている場所ではありますが、この丘がなければ被害を軽減できたかもしれないという意見が出ています。空軍出身の航空専門家、デビッド・リアマウント氏は、「通常、飛行機が滑走路を逸脱した際の損傷を最小限に抑えるため、容易に壊れる、または折り畳まれる構造になっているべきだ」と述べています。
ランディングギアの不具合
2回目の着陸を試みた際、ランディングギア(飛行機の車輪)を手動で降ろすことができなかった点も疑問視されています。これはチェジュ航空の整備能力に問題があったのではないかという指摘に繋がっています。実際、事故の翌日にも同機種の航空機でランディングギアの異常による回航が発生しており、その懸念を裏付けていると言えるでしょう。
チェジュ航空の過去の事故履歴
さらに、事故機は2021年2月に離陸時に機体後部が滑走路に接触し損傷、2億2000万ウォン(約2340万円)の課徴金を科されていた事実も明らかになりました。チェジュ航空は当初「事故の履歴はない」と主張していましたが、これは事実と異なっていたことになります。これに対し、チェジュ航空側は「3年前の事故は軽微であり、航空法上は事故ではなく事件として分類されるため、事故の履歴はないと説明した」と釈明しています。
務安空港の立地条件
また、務安空港が渡り鳥の渡来地4カ所に囲まれた立地にあることも、事故の一因として指摘する専門家もいます。鳥衝突のリスクが高い場所に空港が建設されたこと自体が問題ではないかという声も上がっています。
まとめ
今回の事故は、バードストライクが直接的な原因とされていますが、滑走路の構造や航空会社の整備体制、そして空港の立地条件など、様々な要因が絡み合って大惨事へと繋がった可能性があります。今後の徹底的な調査と再発防止策の実施が強く求められます。