物価高騰が続く中、年末年始は生活困窮者にとって特に厳しい時期となります。そんな中、NPO法人「TENOHASI(てのはし)」が12月31日、東京都豊島区の東池袋中央公園で、住まいを失ったり、仕事に就けないなど生活に困窮する人々に向けて、温かい食事を無償で提供しました。
年末の食卓を支える温もり:アジフライ弁当355食を配布
午後6時からの配布開始に合わせて、355人もの人々が列を成しました。配布されたのは、揚げたてのアジフライが主役の特製弁当。年末の厳しい寒さの中、温かい食事は身体だけでなく心も温めるものとなったことでしょう。
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物価高騰の波:生活保護受給者も苦境に
新宿区に住む72歳の男性は、30年以上とび職として働いてきましたが、数年前、両膝に人工関節を入れたことで働くことができなくなりました。現在は月約7万円の生活保護費で生活していますが、物価高の影響で食料品の購入が以前の3分の2程度にまで減ってしまったといいます。「以前は好きだったみかんも、1袋600円ではとても買えない。今の楽しみは週に一度のお風呂くらいです」と男性は寂しそうに語りました。
荒川区に住む68歳の女性も、年金だけでは生活が困難で、約2年前から生活保護を受けています。灯油の高騰を受け、今年は石油ストーブの使用を諦めたとのこと。生活必需品の値上がりが、生活困窮者をさらに追い詰めている現状が浮き彫りになっています。
支援の輪を広げる「TENOHASI」の活動
「TENOHASI」事務局長の清野賢司さんは、「物価高は生活困窮者をさらに苦しめています。食事提供に並ぶ人は昨年より増えており、この状況がいつまで続くのか見通せません」と深刻な状況を訴えています。
「TENOHASI」は、東池袋中央公園で継続的に支援活動を行っており、1月2日午後5時からは食料品、4日午前10時半からは衣類の配布を予定しています。2日には医療相談も実施される予定です。
食料支援だけじゃない!多角的なサポートで生活困窮者を支える
生活困窮者支援は、食料提供だけでなく、医療相談や衣類提供など多角的なアプローチが必要です。 「TENOHASI」のように、様々な支援を組み合わせることで、より多くの人々に必要なサポートを届けることができます。例えば、食料支援と並行して就労支援や住居支援を行うことで、困窮状態からの脱却を促すことも可能です。 生活困窮者の自立を支援するためには、社会全体で支える仕組みづくりが重要と言えるでしょう。
新年の希望を繋ぐ:継続的な支援の必要性
年末年始は、多くの人々が家族や友人と温かい時間を過ごす一方、生活に困窮する人々にとっては、より一層厳しい時期となります。「TENOHASI」のようなNPO団体による支援活動は、彼らにとって大きな支えとなっています。 物価高騰の波が収まらない中、継続的な支援の必要性はますます高まっています。