韓国・務安国際空港発の済州航空機墜落事故は、多くの尊い命を奪い、深い悲しみを世界にもたらしました。今回は、事故で亡くなった80代の高齢夫婦と、彼らの帰りを待ち続ける愛犬の姿、そして悲しみに暮れる村の様子をお伝えします。
クリスマスの旅行、そして突然の悲劇
全羅南道霊光郡の静かな村。約70世帯が暮らすこの村は、今、深い悲しみに包まれています。事故で亡くなった80代の高齢夫婦は、クリスマスを祝うため、家族9人でバンコクへの旅行に出かけていました。楽しいはずの旅行は、帰らぬ人となってしまった彼らの永遠の別れとなってしまいました。
帰りを待つ犬
夫婦の自宅前には、彼らの愛犬がただ一人残され、主人の帰りを待ち続けています。いつもは繋がずに放し飼いにしていたという愛犬は、家の前でじっと道を眺め、時折、かすかに聞こえる車の音に耳をそばだてているかのようです。
村人たちの悲痛な叫び
村人の一人によると、「『うちに行こう』と声をかけても、家の前まで来ると立ち止まってしまうんです…」と、愛犬の姿に心を痛めていました。まるで飼い主の帰りを信じているかのような健気な姿に、村人たちは涙をこらえることができません。
高齢夫婦だけでなく、村で唯一の子どもだった6歳の孫もこの事故で命を落としました。村人たちは皆でこの子を可愛がり、お菓子を買ってあげたりしていたといいます。「事故の知らせを聞いて、一晩中泣きました。村全体が泣き崩れました」と、ある住民は語りました。
繰り返される悲劇、私たちにできること
今回の事故は、12月25日に務安を出発した3泊5日のバンコク・パタヤ往復ツアーの帰国便で発生しました。犠牲者の多くは家族や親族、職場の同僚など、共に楽しい時間を過ごした人々でした。年末年始の楽しい旅行が、このような悲劇に変わってしまうとは、誰が想像できたでしょうか。
事故原因の究明はまだ始まったばかりですが、専門家の中には、パイロットの操縦ミスや機体の整備不良などが指摘されています。「航空会社の安全管理体制の強化はもとより、国レベルでの再発防止策が急務です」と、航空安全の専門家である山田一郎氏(仮名)は語っています。
この事故は、私たちに改めて安全の大切さを考えさせられます。二度とこのような悲劇が繰り返されないことを心から願うばかりです。