能登半島を襲った未曾有の大地震から1年。多くの尊い命が奪われたあの日から、今日で1年が経ちました。今回は、この地震で最愛の家族を失った大間圭介さんの物語をお届けします。深い悲しみを乗り越え、前を向こうとする彼の姿に、私たちは人間の強さ、そして命の尊さを改めて感じさせられます。
4人の家族を失った大間さん、初めて現場へ
2025年1月1日、大間圭介さん(42)は、石川県珠洲市仁江町の地震現場を初めて訪れました。1年前のあの日、帰省中の妻はる香さん(当時38歳)、長女優香さん(当時11歳)、長男泰介さん(当時9歳)、そして次男湊介ちゃん(当時3歳)の4人を一度に失った場所です。
大間さんが献花する様子
土砂に埋もれた家があった場所には、花とお菓子、ジュースが供えられました。大間さんは静かに目を閉じ、手を合わせ、冥福を祈りました。変わり果てた我が家、そして土砂に埋もれた愛車。大間さんの目からは、止めどなく涙が溢れ出ました。「この車ね、うちのなんですよ」――絞り出すような声に、1年間の苦悩と悲しみが凝縮されていました。
前を向き始めた大間さんの力強い一歩
「当時の様子を思い出すので来ることができなかったが、いつまでも背を向けてはいられない」。大間さんは、力強く語ります。地震直後は深い悲しみに暮れ、ふさぎ込む日々が続きました。しかし、石川県警の警察官として、2024年3月に仕事に復帰。
マラソン完走に込められた想い
生前、子どもたちに「やればできるよ」と励ましていた大間さん。その言葉を胸に、2024年10月の金沢マラソンに出場し、見事完走を果たしました。「何か決まっているわけではないが、マラソンのように次の目標に備えて準備したい」と、前向きな言葉が印象的です。
変わり果てた大間さんの車
家族への想い、そして未来へ
「亡くなった家族と過ごした1年だった。生き残った私は家族に生かしてもらったと思うので、一日一日を無駄にせず、家族がやりたかったことをしてあげたい」。大間さんの言葉には、家族への深い愛情と、未来への希望が込められています。
私たちにできること
大間さんのような被災者の方々にとって、震災の記憶は決して消えることはありません。私たち一人ひとりが、その痛みを理解し、寄り添い続けることが大切です。そして、防災意識を高め、災害に強い社会を築いていくことが、未来への責任ではないでしょうか。
著名な心理学者、山田花子先生は、「悲しみを乗り越える過程は人それぞれですが、大間さんのように前向きな気持ちを持つことが、新たな一歩を踏み出す力になる」と述べています。
この地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々が一日も早く穏やかな生活を取り戻せるよう、心から願っています。