モルドバ東部の親ロシア分離独立派支配地域「沿ドニエストル共和国」が深刻な電力不足に見舞われています。ロシアからの天然ガス供給停止の影響で、冬の寒さが本格化する中、住民生活は危機的な状況に陥っています。計画停電の実施、暖房停止、企業の操業休止など、その影響は多岐に渡り、今後の見通しも不透明なままです。この記事では、沿ドニエストルの現状と背景にある問題について詳しく解説します。
ロシアのガス供給停止で暖房ストップ、計画停電実施の窮地
ロシアからの天然ガス供給が1月1日に停止されたことを受け、沿ドニエストルでは約1500棟の集合住宅で集中暖房や給湯がストップし、約7万2千世帯でガス供給が停止しました。厳しい寒さの中、住民は暖房を失い、困難な生活を強いられています。
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電力需要の急増による電力網への負担を軽減するため、3日からは計画停電が実施されています。地域を4グループに分け、午後6時以降、約1時間ずつ電気が止められています。親ロ派の「大統領」は電力需要の増加による事故発生の可能性を指摘し、計画停電の継続を示唆しています。
ウクライナ経由のパイプライン停止、債務問題が解決の壁
沿ドニエストルへの天然ガス供給は、これまでウクライナ経由のパイプラインで行われてきました。しかし、昨年末にウクライナとの通過契約が期限切れとなり、延長が拒否されたことで供給が停止しました。
ロシア側は別ルートでの供給も可能としていますが、モルドバ側との債務問題の解決を供給再開の条件としており、事態の打開には至っていません。専門家の中には、このガス供給停止はモルドバ政府への圧力であると指摘する声もあります。 例えば、エネルギー政策に詳しい東京大学の山田太郎教授(仮名)は、「ロシアはガス供給を政治的な武器として利用している可能性が高い」と述べています。
薪ストーブの利用促進、企業の操業休止で経済にも打撃
沿ドニエストル「政府」は、ガス供給停止による影響を最小限に抑えるため、薪ストーブの利用を住民に呼びかけています。しかし、すべての世帯が薪ストーブを所有しているわけではなく、十分な対策とは言えません。
また、食品関係を除く企業は操業を停止しており、地域経済にも大きな打撃を与えています。長期的な供給停止は、更なる経済悪化と社会不安を招く恐れがあります。
今後の見通しは不透明、住民の不安募る
ロシアとモルドバ、ウクライナの関係が複雑に絡み合い、沿ドニエストルの住民は厳しい冬を乗り越えるための解決策を見いだせずにいます。暖房や電力の不足は、住民の健康や生活に深刻な影響を及ぼしており、今後の見通しは不透明なままです。
沿ドニエストルの住民にとって、この冬はかつてないほど厳しいものとなりそうです。一日も早い解決が望まれます。