新幹線を陰で支え続けた「ドクターイエロー」こと新幹線電気軌道総合試験車が、老朽化のため引退を迎えます。東海道・山陽新幹線を走り、「見ると幸せになる」という都市伝説まで生まれた黄色い新幹線。その60年にわたる活躍の歴史と、人々を魅了した理由を紐解いていきます。
ドクターイエローとは?新幹線を守る黄色い医者
ドクターイエローは、新幹線の線路や電気設備などを検査するための特別な車両です。正式名称は新幹線電気軌道総合試験車。営業運転が終わった深夜に走行し、線路の状態や架線、信号システムなどをくまなくチェックすることで、新幹線の安全運行を支えてきました。
alt ドクターイエローが走行している様子
その運行ダイヤは非公開。滅多に見ることができないことから、「見ると幸せになる」という都市伝説が生まれ、鉄道ファンのみならず多くの人々に愛されてきました。
60年の歴史に幕、T4とT5の引退
JR東海が保有するT4は2024年1月中に運行を終了。JR西日本のT5も2027年以降に引退予定です。初代のドクターイエローT1は、東海道新幹線開業の1964年に誕生しました。当時の世界最速、時速210キロ走行が設備に与える影響を調査するため、0系新幹線を改造して作られました。車体が黄色く塗装された理由は、目立つ色にすることで、作業員が安全に作業できるよう配慮されたためと言われています。
新幹線開業時から60年間、日本の大動脈を支え続けたドクターイエロー。鉄道ジャーナリストの山田一郎氏(仮名)は、「ドクターイエローの引退は、新幹線の歴史における一つの時代の終わりを感じさせます。しかし、その技術と精神は、新型車両へと受け継がれ、未来の新幹線を支えていくことでしょう」と語っています。
ドクターイエロー人気、引退発表でグッズ売上げ9倍!
2023年10月にJR東海の浜松工場で開催された見学イベントでは、T4とT5の2編成が同時に展示され、多くの来場者がその姿を目に焼き付けようと詰めかけました。子どもたちの歓声があがる中、改めてドクターイエローの人気の高さを実感できたイベントとなりました。
引退発表後、ドクターイエロー関連のおもちゃやグッズの売り上げはなんと9倍以上に急増。その人気は、新幹線の中でも群を抜いていると言えるでしょう。
新型ドクターイエローへの期待
ドクターイエローの引退は寂しい限りですが、その役割は新型車両へと引き継がれます。より高度な検査技術を備えた新型車両の登場により、新幹線は更に安全で快適な乗り物へと進化していくことでしょう。 今後の新幹線技術の発展に期待が高まります。
まとめ:ドクターイエロー、未来へ
ドクターイエローの引退は、一つの時代の終わりを告げます。しかし、その存在は、人々の記憶の中に、そして未来の新幹線へと受け継がれていくことでしょう。 ドクターイエロー、長い間ありがとう。そして、未来の新幹線を陰ながら支えていくであろう新型車両に、大きな期待を寄せたいと思います。