ここ数年、世界中で航空券の高騰が続いていますが、実は東アジアからアメリカやヨーロッパ方面へ旅行する際、東京発と韓国・ソウル発の航空券では運賃に驚くほどの違いがあるのをご存じでしょうか。旅行愛好家やマイル修行を行う人々の間では、コロナ禍以前から「ソウル発」の航空券が「費用対効果が高い」選択肢として広く知られています。日本から直接渡航するよりも運賃が安く、マイルも貯まりやすく、さらに変更やキャンセルに関するルールが柔軟であるなど、数々のメリットがあります。特に最近の円安傾向により、訪日外国人旅行者(インバウンド)が日本に大量に流入しており、それが日本発着の航空運賃をさらに押し上げている現状があります。
日本発着便の運賃高騰と「ソウル発」人気の背景
現在の日本発着便の航空運賃高騰は、円安に加え、コロナ禍後の国際線需要の急回復、そしてインバウンド需要の増加が複合的に影響しています。これにより、日本から出発する国際線の航空券は、以前にも増して高額になる傾向が見られます。
一方、「ソウル発」の航空券が人気を集める背景には、複数の要因があります。まず、隣接する韓国はアジアのハブ空港である仁川国際空港を擁し、世界各都市への路線が豊富です。さらに、航空会社間の競争が激しく、運賃が比較的安価に設定されやすいという特徴があります。これにより、多くの日本人旅行者が、一度ソウルを経由することで大幅な費用削減と利便性を享受できるため、「ソウル発」を選ぶメリットはますます大きくなっています。
東京発 vs ソウル発:主要航空会社の運賃比較
実際に、旅行検索サイト「スカイスキャナー」や「Googleフライト」で、2026年3月中旬の東京/ソウル発パリ行きエコノミークラス(往復)の最安値を検索してみると、その差は歴然です。
例えば、フィンエアーの場合、日本発着便の運賃はソウル発着便の2倍以上になることがあります。カタール航空やエールフランスといった主要な外資系航空会社も、軒並み日本発の運賃が高く、約2倍近くの差が見られることも珍しくありません。直行便の運賃も、韓国発の方が安価である傾向があります。
仁川国際空港のフィンエアーカウンター。ソウル発航空券の手続きは英語または韓国語で行われるが、日本の空港と流れは同じ。
ただし、日本発着の最安値航空券を検索すると、中国東方航空など中国系航空会社が並ぶことが多いです。筆者も何度か中国系航空会社を利用した経験がありますが、運賃が安いとはいえ、英語が通じにくい点や、LINE、Google、Instagramといった日常的に利用するSNSが中国政府の「金盾」政策により利用できないインターネット環境は、旅慣れていない方にとっては乗り継ぎ便でエコノミークラスを利用する上で高いハードルとなるでしょう。
プレミアムエコノミー・ビジネスクラスもソウル発が圧倒的に有利
エコノミークラスだけでなく、より上級クラスである「プレミアムエコノミークラス」や「ビジネスクラス」においても、ソウル発の優位性は顕著です。日本発のプレミアムエコノミークラスの運賃が30万円を超えるのに対し、ソウル発では10万円台から見つけることが可能です。ビジネスクラスも、ソウルはビジネス需要がある程度の規模で存在しますが、全体的な運賃水準はやはりソウル発の方が安価に設定されています。これにより、限られた予算内でより快適なフライトを求める旅行者にとって、「ソウル発」は非常に魅力的な選択肢となります。
柔軟な運賃ルール:ソウル発のもう一つの魅力
さらに、ソウル発の航空券には、日本発の航空券と比較して、キャンセルや予約変更に関するルールが柔軟で、各種手数料も安価であるというメリットがあります。特に、日本発の最安値運賃の航空券には「返金不可」の条件が多く見られます。
例えば、ターキッシュエアラインズの東京-パリ間エコノミークラス往復で最安運賃(約19万円)を選択した場合、運賃ルールは「キャンセル返金不可」「変更手数料11万4,200円」と高額です。一方で、約25万円の運賃を選べば「キャンセル無料」「変更手数料無料」となるケースもあります。
これに対し、ソウル-パリ間の最安運賃(約15万円)では、「キャンセル料4万8,100円~」「変更手数料4万8,100円」と設定されており、日本発よりも安価で柔軟です。さらに、わずか1,000円ほど高い運賃を選ぶだけで「一部区間、キャンセル無料」「変更手数料1万9,300円」といった、より有利な条件を選択できる場合があります。旅程変更の可能性を考慮すると、この柔軟性はソウル発を選ぶ大きな理由の一つとなるでしょう。
結論
東京発とソウル発の航空券運賃には、多くの人が想像する以上に大きな差があります。現在の円安傾向やインバウンド需要の増加が日本発着便の運賃を押し上げる中、「ソウル発」は国際線航空券の費用を大幅に抑え、さらにマイル積算や運賃ルールの柔軟性といった追加メリットを享受できる賢い選択肢と言えます。海外旅行の計画を立てる際は、ぜひこの「ソウル発」のルートを検討し、お得で快適な空の旅を実現してください。
参考文献
- なぜわざわざ「ソウル発」を選ぶ? その納得の「理由」とは (Yahoo!ニュース/FRIDAY)