緊迫!尹大統領逮捕状執行、警護庁が阻止で韓国政局混迷深まる

韓国政局が大きく揺れている。高官犯罪捜査庁(高捜庁)による尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領への逮捕状執行が、大統領警護庁の抵抗により中断されるという異例の事態が発生した。今後の政局の行方は混迷を極めている。

逮捕劇の顛末:大統領公邸前の攻防

2025年1月3日午前、高捜庁捜査員と警察官計100人が大統領公邸に進入を試みた。尹大統領への逮捕状執行に向けた動きだ。しかし、大統領警護庁要員ら約200人がバリケードを築き、捜査員らの進入を阻止。小競り合いも発生するなど、緊迫した状況となった。

大統領公邸を出る高官犯罪捜査庁の捜査員と警察官ら大統領公邸を出る高官犯罪捜査庁の捜査員と警察官ら

協議の結果、検事3人のみが公邸に近づいたものの、警護庁要員の数の多さに安全確保が困難と判断。最終的に、進入から約5時間半後に撤収を決定した。高捜庁は逮捕状執行を中断する一方、警護庁長らに対して公務執行妨害容疑での捜査を開始。4日までの出頭を要求した。

支持者と反対派の対立:国民の分断深刻化

大統領公邸周辺には、尹大統領支持者らが早朝から集結。「高捜庁廃止!」などのシュプレヒコールを上げ、逮捕に反対する姿勢を明確にした。警察は約2700人の人員を投入し、支持者らの公邸への接近を阻止。幹線道路にはバスを並べてバリケードを築き、厳戒態勢を敷いた。

この一連の騒動は、韓国社会の分断を改めて浮き彫りにした。国民の間に深い溝が生じていることは明らかで、今後の社会不安の高まりも懸念される。

弁護団と警護庁の主張:逮捕状の有効性を巡る攻防

尹大統領の弁護団は、高捜庁には内乱罪の捜査権限がなく、逮捕状は憲法違反で無効だと主張。大統領警護庁もこの主張に同調し、高捜庁を批判する声明を発表した。一方、逮捕状を発付したソウル西部地裁は、同時に出した捜索令状で軍事上の秘密に関わる場所の捜索を認めている。

争点と今後の展望:逮捕状再執行の可能性は?

高捜庁は、尹大統領が3度の出頭要請に応じなかったため、2024年12月30日に逮捕状請求に踏み切った。地裁は同31日に逮捕状を発付。執行期限は2025年1月6日までとなっている。

今後の焦点は、逮捕状の再執行と警護庁長に対する捜査の行方だ。政治アナリストの金氏は「今回の事態は、大統領の権限と捜査機関の独立性という、民主主義国家における重要な原則が衝突した象徴的な出来事だ」と指摘する。

韓国政治の専門家、朴教授は、「大統領の逮捕状執行という前例のない事態は、韓国政治に大きな傷跡を残すだろう。今後の政局の安定化には、双方が冷静な対話を通じて解決策を探る必要がある」と警鐘を鳴らす。

逮捕状の再執行は、更なる混乱を招く可能性も否定できない。今後の動向に、国内外から注目が集まっている。