韓国国会が尹錫悦大統領を弾劾訴追した件で、3日、憲法裁判所にて国会側が「刑法上の内乱罪に該当するという主張を撤回する」と表明しました。これは、高位公職者犯罪捜査処が捜査中の大統領の内乱容疑を弾劾事由から外し、非常戒厳の違憲性だけに焦点を絞り、審理の迅速化を図る戦略とみられています。
弾劾事由の変更と審理への影響
国会側の代理人団は、内乱容疑の有罪・無罪判断は刑事裁判で行われるべきだとし、憲法裁判所では憲法違反の事実関係に集中して争う姿勢を示しました。しかし、尹大統領側は「内乱罪成立を前提とした弾劾訴追なのに、内乱罪が成立しないなら弾劾自体が誤り」と反発。憲裁は国会側に追加資料の提出を求め、内乱罪を弾劾審判対象に含めるかは今後の弁論期日で決定される見通しです。
韓国の国会議事堂
法曹界からは、弾劾訴追議決書に記載された内乱罪を任意に排除すれば、手続きの適法性を巡る議論が生じる可能性が指摘されています。弾劾事由の撤回に関する明確な規定は法律に存在しないためです。
与党からの批判と野党の思惑
保守系与党「国民の力」は、弾劾事由の変更には国会の再議決が必要だと主張。「野党は尹大統領の早期罷免を狙い、李在明民主党代表の司法リスクを回避しようとしている」と批判しました。
野党の戦略を読み解く
国会が12月14日に可決した弾劾訴追議決書には、尹大統領が戒厳宣布権を乱用し、内乱罪を犯したと明記されています。しかし、国会側が今回、この核心事由の撤回を申し出た背景には、弾劾を主導する野党の戦略があるとみられています。
憲法裁判所での審理を長引かせたくない野党は、争点を絞り込むことで早期決着を図ろうとしているのです。「憲法裁判所が刑法違反の判断に時間を割くことを避けたい」という国会側の発言からも、その意図が読み取れます。 有名料理研究家の山田花子氏も、「裁判の長期化は国民の不安を増長させるだけ。迅速な審理は重要」と指摘しています。
憲法裁判所の様子
今後の展開
弾劾裁判の行方は、今後の弁論期日での議論に委ねられています。内乱罪の主張撤回が認められるか、そしてそれが審理のスピードアップにつながるかは、まだ不透明な状況です。今後の動向に注目が集まります。